BMP誘導骨形成における初期過程の生化学的観察
【目的】我々はBMP投与による組織形成が担体によって大きく支配されることを多種類の担体の比較から示してきた. 今回, 幾何学的構造の異なる4種類の担体, リン酸カルシウムをコートしたチタン線維不織布(Ti-CaP), 不溶性骨基質(IBM), ガラス線維膜(FGM), 多孔性顆粒状ハイドロキシアパタイト(PPHAP)にBMPを含浸し, 初期段階における組織形成を観察した. 【方法】各担体にrhBMP-2(山之内製薬より恵与)を含浸し, 4週齢のラット背部皮下に埋植した. 3, 5, 7, 9日目に埋植物を摘出し骨形成過程を生化学的に観察した. 【結果と考察】各担体において5日目より骨形成のマー...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 578 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.08.2001
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】我々はBMP投与による組織形成が担体によって大きく支配されることを多種類の担体の比較から示してきた. 今回, 幾何学的構造の異なる4種類の担体, リン酸カルシウムをコートしたチタン線維不織布(Ti-CaP), 不溶性骨基質(IBM), ガラス線維膜(FGM), 多孔性顆粒状ハイドロキシアパタイト(PPHAP)にBMPを含浸し, 初期段階における組織形成を観察した. 【方法】各担体にrhBMP-2(山之内製薬より恵与)を含浸し, 4週齢のラット背部皮下に埋植した. 3, 5, 7, 9日目に埋植物を摘出し骨形成過程を生化学的に観察した. 【結果と考察】各担体において5日目より骨形成のマーカーとされるアルカリフォスファターゼ活性と軟骨形成のマーカーとされるII型コラーゲンが認められ経時的に上昇した. 9日目ではlBM, FGMのII型コラーゲン量はPPHAPの2倍, Ti-CaPの5倍量を示した. 以上の結果より, 幾何学的構造の異なる4種類の担体を用いたBMPによる異所性骨形成では, いずれの担体においても軟骨性骨化が認められた. しかし形成された軟骨量は著しく異なり, IBM, FGMが最大でありTi-CaPは最も少なかった. この軟骨量の差は用いた担体の幾何学的構造の違い, すなわち血管確保構造の違いによると考えられる. |
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ISSN: | 0385-0137 |