う蝕罹患経験の異なる4学生群におけるS.mutansとS.sobrinusの検出者率及び歯垢中レベルの比較
【目的】S. mutans(Sm)菌数とう蝕発症, S. sobrinus(Ss)の有無及び菌数とう蝕発症との相関性を明らかにする目的で, う蝕罹患経験の異なる4学生群からの歯垢試料を用いてSmとSsの存否及び菌数レベルを厳密に検定し, 群間比較を行った. 【方法】DMF歯数15以上の高う蝕罹患経験者(高う蝕者)36名, 8~12の中等度う蝕者66名, 1~5の低う蝕者58名, 及びゼロの無う蝕者36名からのブラッシング歯垢(1分間ブラッシング-PBS含漱処理)を調製し, MS培地とMSB(改良)培地にスパイラル培養システムにて塗抹, 培養後, 総レンサ球菌, Sm及びSsの生菌数算定を行った...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 468 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】S. mutans(Sm)菌数とう蝕発症, S. sobrinus(Ss)の有無及び菌数とう蝕発症との相関性を明らかにする目的で, う蝕罹患経験の異なる4学生群からの歯垢試料を用いてSmとSsの存否及び菌数レベルを厳密に検定し, 群間比較を行った. 【方法】DMF歯数15以上の高う蝕罹患経験者(高う蝕者)36名, 8~12の中等度う蝕者66名, 1~5の低う蝕者58名, 及びゼロの無う蝕者36名からのブラッシング歯垢(1分間ブラッシング-PBS含漱処理)を調製し, MS培地とMSB(改良)培地にスパイラル培養システムにて塗抹, 培養後, 総レンサ球菌, Sm及びSsの生菌数算定を行った. 菌種判別は主として実体顕微鏡下での集落形態観察により行い, 疑わしい集落に関しては壁固着性, デキストラン凝集性, ELISA等により判別した. 【結果及び考察】高, 中, 低, 無う蝕者群におけるSsの検出者率はそれぞれ38. 9, 25. 8, 10. 3, 5. 6%であり, う蝕罹患経験の高い群ほど有意(x2検定:p<0. 001)に高率を示すことが確認された. Sm及びSsの菌数レベルもまた高う蝕群が低, 無う蝕群より有意(Tukey多重比較:p<0. 05)に高いことを示した. 本研究の結果は, う蝕罹患経験に豊む学生群ほど保有Sm菌数及び及Ssの検出頻度と保有菌数が高いことを示しており, 個々人のう蝕リスク判定において両菌種の存否と菌数レベルを評価することの重要性が示唆された. |
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ISSN: | 0385-0137 |