萌出期の縮合エナメル上皮と口腔上皮の融合過程における上皮細胞の動態について
【目的1歯の萌出期における縮合エナメル上皮(REE)と口腔上皮(OE)の融合に関与する因子について免疫組織化学的に検討した. 【方法】4%パラホルムアルデヒドで固定, 10%EDTAで脱灰した生後7日齢から25日齢のWistar系ラット上顎第一臼歯を用いた. パラフィン切片を用いて, 抗PCNA, 抗p27, 抗EGFR, 抗NGFR(p75), 抗CK14を使用しABC法にて免疫組織化学的染色を行った. またTUNEL法により細胞死について検索した. 【結果】抗PCM陽性細胞は, 歯胚が上皮に近接する以前の生後13日前後からREE外層とOE基底層に発現し, 両上皮が融合するまで細胞増殖は続い...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 461 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
30.08.2000
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的1歯の萌出期における縮合エナメル上皮(REE)と口腔上皮(OE)の融合に関与する因子について免疫組織化学的に検討した. 【方法】4%パラホルムアルデヒドで固定, 10%EDTAで脱灰した生後7日齢から25日齢のWistar系ラット上顎第一臼歯を用いた. パラフィン切片を用いて, 抗PCNA, 抗p27, 抗EGFR, 抗NGFR(p75), 抗CK14を使用しABC法にて免疫組織化学的染色を行った. またTUNEL法により細胞死について検索した. 【結果】抗PCM陽性細胞は, 歯胚が上皮に近接する以前の生後13日前後からREE外層とOE基底層に発現し, 両上皮が融合するまで細胞増殖は続いた. CDKインヒビターであるp27に対する陽性反応は, REEとOEが網状に融合した上皮内層に多数局在した. 抗CK14の反応により融合上皮の最内屠は角化することが判明したが, この角化像に一致してTUNEL陽性細胞が観察された. 抗EGFR陽性反応は, 全日齢でOE基底層, REEを含むエナメル器由来上皮に観察されたが, 抗NGFRには, 陰性であった. 【考察】これらの結果から萌出時におけるREEとOEの融合は, EGFRに結合する成長因子の刺激により起こる細胞分裂活性の上昇によるものであり, また融合上皮には中央部で細胞分裂抑制が起こり, アポトーシスを伴う角化が生じることが確認された. |
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ISSN: | 0385-0137 |