ティッシュエンジニアリングによる循環制御

「はじめに」虚血性心疾患や拡張型心筋症に伴う重症心不全に対しては, 脳死患者からの心臓移植が最終的な治療法となっているが, ドナー不足が大きな問題となっている. また機械的な左室補助装置や植込み型人工心臓の使用は, 感染および血栓形成や感染などの問題があり長期的な生命維持は困難なのが現状である. そこで近年新たな治療法として再生医療が注目され, 自己筋芽細胞や骨髄由来細胞を不全心筋組織内へ注入することにより心筋組織を再生させる方法が臨床応用されている. さらに次世代の再生医療としてティッシュエンジニアリング(組織工学)によりin vitroで組織を再構築し, 作製された組織を不全心筋部に移植す...

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Published in循環制御 Vol. 27; no. 3; pp. 180 - 185
Main Authors 関根秀一, 清水達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本循環制御医学会 30.09.2006
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Summary:「はじめに」虚血性心疾患や拡張型心筋症に伴う重症心不全に対しては, 脳死患者からの心臓移植が最終的な治療法となっているが, ドナー不足が大きな問題となっている. また機械的な左室補助装置や植込み型人工心臓の使用は, 感染および血栓形成や感染などの問題があり長期的な生命維持は困難なのが現状である. そこで近年新たな治療法として再生医療が注目され, 自己筋芽細胞や骨髄由来細胞を不全心筋組織内へ注入することにより心筋組織を再生させる方法が臨床応用されている. さらに次世代の再生医療としてティッシュエンジニアリング(組織工学)によりin vitroで組織を再構築し, 作製された組織を不全心筋部に移植することにより循環を制御し心機能を改善しうることが実験レベルで示されている. 本特集では心筋組織再生について概説するとともに, 我々が独自に開発した組織工学的手法「細胞シート工学」によって作製した再生心筋組織について紹介する.
ISSN:0389-1844