OVXラットにおける抜歯窩治癒過程のTGF-β receptorの局在

estrogenは骨芽細胞などのTGF-βの合成を促進し, 血中レベルのestrogen減少は骨形成の低下を来たすことが報告されている. そこで, estrogenの骨再生に与える影響を検索する目的で, 卵巣を摘出したラット(OVX)における抜歯窩の治癒過程のTGF-βおよびBMP roceptor局在を観察した. 材料は発情期が停止したラットの卵巣を摘出後, 50日経過したものを実験に使用した. 上顎M1を抜歯し, 1, 2, 3, 4, 5日, 1, 2, 3, 4週間後に4% paraformaldehyde溶液を用いて固定を行い, 脱灰後パラフィン切片とした. 免疫組織化学ではTGF-...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 455
Main Authors 中田智子, 稲毛稔彦, 油井龍五, 大井田新一郎, 堀部崇大, 金子勝彦, 鴨川大助, 関和忠信, 一條秀憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:estrogenは骨芽細胞などのTGF-βの合成を促進し, 血中レベルのestrogen減少は骨形成の低下を来たすことが報告されている. そこで, estrogenの骨再生に与える影響を検索する目的で, 卵巣を摘出したラット(OVX)における抜歯窩の治癒過程のTGF-βおよびBMP roceptor局在を観察した. 材料は発情期が停止したラットの卵巣を摘出後, 50日経過したものを実験に使用した. 上顎M1を抜歯し, 1, 2, 3, 4, 5日, 1, 2, 3, 4週間後に4% paraformaldehyde溶液を用いて固定を行い, 脱灰後パラフィン切片とした. 免疫組織化学ではTGF-β type I receptor(TβR-I)およびBMP type IA receptor(BMR-IA)の塩基配列の異なった膜内domainをcodeする合成peptideに対する抗体を使用した. 【結果と結論】OVXラットでは抜歯後1日目に抜歯窩に血餅が形成され, 3~5日目で線維化, 14日目で骨形成がみられた. TβR-Iの免疫反応はBMR-IAと同様の局在示したが, BMR-IAに比べ強かった. 両receptorの免疫反応は抜歯後1~2日目では抜歯窩内の細胞にみられ, 残存した歯根膜細胞では反応は弱かった. 4~5日目では免疫反応は破骨細胞に強く観察されて. その後, 線維化や骨形成に伴って線維芽細胞や骨芽細胞に反応がみられた. 正常な動物では両receptorの免疫反応は抜歯後3~5日目では残存した歯根膜細胞に, 7日目では骨形成が開始され, 骨芽細胞に観察された. OVXラットでは破骨細胞による骨吸収期間が長く, 骨形成が行われる時期が遅延していた.
ISSN:0385-0137