ネコ歯胚におけるヒアルロン酸(HA)の超微局在

【目的】HAは細胞外基質成分として分布し, 細胞の増殖や分化に関連して発現することが知られている. 今回, ネコ新生仔臼歯歯胚で各種細胞の分化とHAの局在関係を明らかにした. 【方法】1%glutaraldehyde/4%paraformaldehydeで潅流固定, EDTA脱灰した歯胚をLR White包埋し超薄切片を作製した. HAの検出にはbiotinylated HA binding Protein, rabbit anti-biotin antibody, protein A goldを併用した. 【結果および考察】分化期:歯乳頭周縁細胞間隙, 内エナメル上皮細胞間隙および中間層細胞...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 565
Main Authors 小萱康徳, 久保金弥, 岩久文彦, 清水永守
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.08.2001
Japanese Association for Oral Biology
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137

Cover

More Information
Summary:【目的】HAは細胞外基質成分として分布し, 細胞の増殖や分化に関連して発現することが知られている. 今回, ネコ新生仔臼歯歯胚で各種細胞の分化とHAの局在関係を明らかにした. 【方法】1%glutaraldehyde/4%paraformaldehydeで潅流固定, EDTA脱灰した歯胚をLR White包埋し超薄切片を作製した. HAの検出にはbiotinylated HA binding Protein, rabbit anti-biotin antibody, protein A goldを併用した. 【結果および考察】分化期:歯乳頭周縁細胞間隙, 内エナメル上皮細胞間隙および中間層細胞間隙に多量に検出されたが, 歯胚基底膜領域では全く検出されなかった. 外套象牙質形成期:初期象牙基質および象牙芽細胞間隙に検出されなかったが, 内エナメル上皮細胞が前エナメル芽細胞へ分化するに伴い細胞間隙では減少消失する傾向を示した. また, 中間層細胞間隙およびエナメル髄に多量に検出された. エナメル基質形成期:初期エナメル基質が形成され始めるとエナメル芽細胞間隙に再現し, 時にエナメル基質表層にも検出された. 象牙質およぴ象牙芽細胞間隙には検出されなかったが, 象牙芽細胞下の歯髄細胞間隙では散在性に検出された. 歯胚各種細胞の分化過程での動的な分布変化は, 細胞分化と増殖を誘導する基質的要因が内在する可能性を示しこの要因は細胞種によって, また分化増殖の時期的経過とも密接な関わりを考えさせた.
ISSN:0385-0137