加齢に伴うPTHの腎尿細管基底側膜の(Ca2++Mg2+)-ATPase活性の調節機構の低下に関する研究

副甲状腺ホルモン (以下PTHと略す) の家兎腎尿細管基底側膜 (以下BLMと略す) の(Ca2++Mg2+)-ATPase 活性亢進作用に対する加齢の影響につき検討した. 若齢家兎と比較して, 老齢家兎においてはPTHのBLM (Ca2++Mg2+)-ATPase活性亢進作用は著しく低下しており, (Ca2++Mg2+)-ATPase活性を指標とした場合, PTHに対する相対的な腎不応性が存在すると考えられた. 一方, cyclic AMP (以下cAMPと略す) のBLM (Ca2++Mg2+)-ATPase活性亢進作用は若齢および老齢家兎腎ともに同等に認められた. 上記のPTHに対する腎...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 28; no. 3; pp. 371 - 376
Main Authors 白石, 恒人, 森本, 茂人, 伊藤, 和幸, 宮下, 善行, 北野, 昇一, 名畑, 孝, 井上, 卓夫, 森田, 龍平, 谷口, 和久, 福尾, 恵介, 今中, 俊爾, 高, 栄男, 阪口, 勝彦, 荻原, 俊男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.05.1991
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Summary:副甲状腺ホルモン (以下PTHと略す) の家兎腎尿細管基底側膜 (以下BLMと略す) の(Ca2++Mg2+)-ATPase 活性亢進作用に対する加齢の影響につき検討した. 若齢家兎と比較して, 老齢家兎においてはPTHのBLM (Ca2++Mg2+)-ATPase活性亢進作用は著しく低下しており, (Ca2++Mg2+)-ATPase活性を指標とした場合, PTHに対する相対的な腎不応性が存在すると考えられた. 一方, cyclic AMP (以下cAMPと略す) のBLM (Ca2++Mg2+)-ATPase活性亢進作用は若齢および老齢家兎腎ともに同等に認められた. 上記のPTHに対する腎不応性は腎BLMの加齢に伴うPTH刺激に対するcAMP産生の低下, あるいはcAMP以外の情報伝達系の障害によるものと考えられた. BLMの (Ca2++Mg2+)-ATPaseは腎におけるカルシウムイオン再吸収に対して重要な役割を果たしており, その低下は加齢における腎のカルシウム出納の変化の一因と考えられる.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.28.371