HPA-DNAタイピングによるHLA・HPA適合血小板を必要とする患者のための適合ドナープール

頻回血小板輸血により抗HLA(human leukocyte antigen:ヒト白血球抗原)抗体を産生し, ランダムドナー由来の血小板輸血に対して血小板輸血無効状態(refractory state)を示す患者には, HLA適合血小板が有効であることが確認されており1)~5), 1985年より当センターでは抗HLA抗体保有患者にHLA適合血小板を供給してきた. しかし, HLA適合血小板を輸血している患者で抗HPA(human platelet antigen:ヒト血小板抗原)抗体を保有する場合は, HLA適合血小板では輸血効果がみられず, HPAをも適合するドナー由来の血小板輸血が必要であ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 610 - 617
Main Authors 三原佳子, 河賀泰子, 堤康英, 佐藤博行, 前田義章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.10.1998
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ISSN0546-1448

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Summary:頻回血小板輸血により抗HLA(human leukocyte antigen:ヒト白血球抗原)抗体を産生し, ランダムドナー由来の血小板輸血に対して血小板輸血無効状態(refractory state)を示す患者には, HLA適合血小板が有効であることが確認されており1)~5), 1985年より当センターでは抗HLA抗体保有患者にHLA適合血小板を供給してきた. しかし, HLA適合血小板を輸血している患者で抗HPA(human platelet antigen:ヒト血小板抗原)抗体を保有する場合は, HLA適合血小板では輸血効果がみられず, HPAをも適合するドナー由来の血小板輸血が必要であるとされている5)6). 当センターにおいても, 抗HLAおよび抗HPA抗体を保有した患者に対しては, 可能な限りHLA・>HPA適合血小板を供給してきた. HLA・HPA適合血小板を供給する場合は, HLA適合ドナーのリンパ球と患者血清との交差試験をAHG-LCT法7)(anti-human globulin lymphocytotoxicity test:抗ヒトグロブリン血清を用いたリンパ球細胞毒性試験)によって行い, 患者血清中の抗HPA抗体の同定, HLA適合ドナーの血小板と患者血清との交差試験, 成分献血ドナーのHPAダイビングをMPHA法8)(mixed passive hemagglutination:混合受身凝集反応)によって行ってきた. しかし, この方法では十分な数のドナーを得ることは困難であり, 血小板交叉試験は判定まで一昼夜を要し, 結果が供給日の翌日に出るという欠点があった. 1996年2月からDNAによるHPAダイビング法を導入し, HPA適合ドナーの確保を目的として成分献血ドナーのHPA-1, 2, 3, 4, 5, 6のダイビングを実施した. 2年が経過した1998年2月時点においてHLA・HPAダイビングが実施されたドナーから, 過去にHLA・HPA適合血小板輸血が必要と判定された患者に, 何人の適合ドナーが得られるかを検討した.
ISSN:0546-1448