破骨細胞によって掘り出された骨細胞の再埋入機序

緻密骨の改造現象において, 破骨細胞によって骨基質から掘り出された骨細胞のその後の動態については不明な点が多い. 本研究は, reversal zoneにおいてreversal lineと連続する骨小腔内に存在する骨細胞と前骨芽細胞層との三次元的位置関係を検索することによって, cutting coneおける骨吸収が終了した時点で, 破骨細胞により掘り出された骨細胞が, closing coneにおいてそのまま骨基質に再び埋入される可能性を検証することを目的とした. 【材料と方法】固定, 脱灰したラット下顎骨骨体部緻密骨部分をエポン包埋した試料を, 前頭断の方向から薄切し連続準超薄切片を作製し...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 461
Main Authors 鈴木礼子, 土門卓文, 脇田稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:緻密骨の改造現象において, 破骨細胞によって骨基質から掘り出された骨細胞のその後の動態については不明な点が多い. 本研究は, reversal zoneにおいてreversal lineと連続する骨小腔内に存在する骨細胞と前骨芽細胞層との三次元的位置関係を検索することによって, cutting coneおける骨吸収が終了した時点で, 破骨細胞により掘り出された骨細胞が, closing coneにおいてそのまま骨基質に再び埋入される可能性を検証することを目的とした. 【材料と方法】固定, 脱灰したラット下顎骨骨体部緻密骨部分をエポン包埋した試料を, 前頭断の方向から薄切し連続準超薄切片を作製した. 連続切片はメチレンブルー, アズールII染色後, 光学顕微鏡で観察しreversal zoneにおける骨細胞と前骨芽細胞層との三次元的位置関係について検索した. 【結果】reversal zoneにおいてreversal lineと連続する骨小腔内に存在する大部分の骨細胞では, 細胞体の血管側の骨基質から掘り出された部分は三次元的に前骨芽細胞層によって完全に被われていた. 【結論】骨吸収が終了した時点で破骨細胞によって細胞体の約半分まで掘り出された骨細胞は, その後の骨形成において, そのまま再び骨基質に埋入されることが示唆された.
ISSN:0385-0137