歯の先天欠如者において原因候補遺伝子MSX1の変異を探る研究

【目的】ヒトの歯の先天欠如にMSX1遺伝子が関係しているかどうかを調べるために, 九州大学歯学部小児歯科外来を受診した, 永久歯の先天欠如が認められ, 他には全身的に形態異常は見られない患児, および成人ボランティアの男11名, 女11名, 計22名において, MSX1遺伝子の変異について調べた. 【方法】血液からDNAを抽出し, MSX1遺伝子を構成する2つのエクソンのopen reading frameを含む断片を, それぞれPCR法にて増幅した. 変異はNon-lsotopic RNase Cleavage Assayにて検出した. 【結果と考察】22名中, エクソン1の断片に変異があっ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 458
Main Authors 長田恵美, 佐々木康成, 浜地剛, 中田稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:【目的】ヒトの歯の先天欠如にMSX1遺伝子が関係しているかどうかを調べるために, 九州大学歯学部小児歯科外来を受診した, 永久歯の先天欠如が認められ, 他には全身的に形態異常は見られない患児, および成人ボランティアの男11名, 女11名, 計22名において, MSX1遺伝子の変異について調べた. 【方法】血液からDNAを抽出し, MSX1遺伝子を構成する2つのエクソンのopen reading frameを含む断片を, それぞれPCR法にて増幅した. 変異はNon-lsotopic RNase Cleavage Assayにて検出した. 【結果と考察】22名中, エクソン1の断片に変異があった人は15名, エクソン2の断片に変異があった人は5名であった. なおエクソン2に変異があった人5名は全て, エクソン1にも変異があった. 変異のある場所は, エクソン1では, 両端のどちらかの端からの約200, 300, 450bpの距離の所であり, エクソン2では約300, 450bpの距離の所であった. また制限酵素による切断実験より, この22名に関しては, 常染色体優性遺伝で歯の先天欠如が認められた一家族内において発見された, MSX1遺伝子の2125番目のグアニンがシトシンに変わる変異は, ないことが確認された. 以上の結果より, 新たなMSX1遺伝子の変異が, 歯の先天欠如に関係していることが示唆された.
ISSN:0385-0137