動脈硬化による非破裂性下腸間膜動脈瘤の1例

腹部内臓動脈瘤は腹部大動脈瘤に比べ,稀な疾患であるが,その中でも下腸間膜動脈瘤はきわめて稀である.今回われわれは下腸間膜動脈瘤の手術例を経験したので報告する.症例は78歳,女性で,腹部エコー, CTで異常を指摘されたため,精査を行った.腹部CTで腹部大動脈の前方に径1.2cmの造影剤にてエンハンスされる血管陰影を認めた.血管造影では下腸間膜動脈根部に径1.6×1.3cmの嚢状動脈瘤を認めた.破裂予防のため,手術を施行した.下腸間膜動脈瘤を切除し,末梢を腹部大動脈にreimplantationした.術後経過は良好で,術後造影でも再建した下腸間膜動脈は開存しており,術後21日目に軽快退院となった....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 9; pp. 2193 - 2196
Main Authors 吉田, 博希, 杉本, 泰一, 清水, 紀之, 石川, 訓行
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.09.2002
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:腹部内臓動脈瘤は腹部大動脈瘤に比べ,稀な疾患であるが,その中でも下腸間膜動脈瘤はきわめて稀である.今回われわれは下腸間膜動脈瘤の手術例を経験したので報告する.症例は78歳,女性で,腹部エコー, CTで異常を指摘されたため,精査を行った.腹部CTで腹部大動脈の前方に径1.2cmの造影剤にてエンハンスされる血管陰影を認めた.血管造影では下腸間膜動脈根部に径1.6×1.3cmの嚢状動脈瘤を認めた.破裂予防のため,手術を施行した.下腸間膜動脈瘤を切除し,末梢を腹部大動脈にreimplantationした.術後経過は良好で,術後造影でも再建した下腸間膜動脈は開存しており,術後21日目に軽快退院となった.病理学的には石灰化を伴う高度の動脈硬化病変が認められ,内膜の線維性肥厚とアテローマ形成が認められ,動脈硬化に伴う動脈瘤と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.2193