エビデンスに基づいた心房細動リズムマネージメントの展望

心房細動(AF)を対象に海外で実施されたこれまでの臨床試験では, レート治療に対するリズム治療の優位性が示されていない. そうしたなか, 日本独自のガイドラインに従って実施されたJ-RHYTHM試験では, 発作性AFにおけるリズム治療群でレート治療群に比べ有意に優れたイベント回避生存率が得られた. また, 死亡および心・血管系イベントは, 発作性AF, 持続性AFともにリズム治療群とレート治療群で差はみられなかったが, 「被験者の基本的治療法に対する忍容性」の改善効果はリズム治療群で有意に優れていた. 本試験の結果から, 発作性AFにはQOL重視の観点からリズム治療が推奨されることが明らかとな...

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Published in心電図 Vol. 27; no. 6; pp. 663 - 667
Main Author 小川聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心電学会 25.11.2007
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ISSN0285-1660

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Summary:心房細動(AF)を対象に海外で実施されたこれまでの臨床試験では, レート治療に対するリズム治療の優位性が示されていない. そうしたなか, 日本独自のガイドラインに従って実施されたJ-RHYTHM試験では, 発作性AFにおけるリズム治療群でレート治療群に比べ有意に優れたイベント回避生存率が得られた. また, 死亡および心・血管系イベントは, 発作性AF, 持続性AFともにリズム治療群とレート治療群で差はみられなかったが, 「被験者の基本的治療法に対する忍容性」の改善効果はリズム治療群で有意に優れていた. 本試験の結果から, 発作性AFにはQOL重視の観点からリズム治療が推奨されることが明らかとなった. 「I. はじめに」このほど, 日本心電学会が主催した無作為化多施設共同群間比較試験J-RHYTHMの結果がまとまった. その結果の一部は, 第71回日本循環器学会総会・学術集会(2007年3月, 神戸)で報告したが, 本稿においては本試験の結果を踏まえ, 心房細動(AF)のリズムマネージメントの意義と展望を明らかにしていきたい.
ISSN:0285-1660