bFGFのBSP遺伝子発現に及ぼす効果は骨芽細胞の分化段階により異なる
【目的】bFGFは骨芽細胞が合成し, 骨の成長と修復に大きな影響を与えているが, 骨芽細胞の分化段階によりbFGFの効果がどのような影響を受けるか明らかではない. 本研究では骨髄細胞が骨芽細胞へ分化する過程でbFGFが骨シアロ糖タンパク(BSP), オステオカルシン(OCN), I型コラーゲン(COL)遺伝子発現にどのような効果を及ぼすか検討した. 【方法】ラット大腿骨より採取した骨髄細胞をDexamethasone(Dex), β-グリセロリン酸を含む培地(Inducing Medium)中で培養した. 培養開始後2週目と3週目にそれぞれbFGFを含む培地中で48時間培養した後, 総RNAを...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 442 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
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Summary: | 【目的】bFGFは骨芽細胞が合成し, 骨の成長と修復に大きな影響を与えているが, 骨芽細胞の分化段階によりbFGFの効果がどのような影響を受けるか明らかではない. 本研究では骨髄細胞が骨芽細胞へ分化する過程でbFGFが骨シアロ糖タンパク(BSP), オステオカルシン(OCN), I型コラーゲン(COL)遺伝子発現にどのような効果を及ぼすか検討した. 【方法】ラット大腿骨より採取した骨髄細胞をDexamethasone(Dex), β-グリセロリン酸を含む培地(Inducing Medium)中で培養した. 培養開始後2週目と3週目にそれぞれbFGFを含む培地中で48時間培養した後, 総RNAを回収した. BSP, OCN, COL遺伝子発現量は定量PCR法あるいはNorthern blotting法により測定した. 【結果】骨髄細胞を培養すると1週目より結節が形成されはじめ, 経時的にその大きさは増大した. BSP, OCN, COL遺伝子発現は経時的に増加し, Dex処理により骨芽細胞へ分化したことが明らかになった. 2週目にbFGF処理をするとBSP遺伝子発現は促進されたが, 3週目で処理をしてもほとんど影響を受けなかった. 一方OCN, COL遺伝子発現は2週目, 3週目いずれの時期においてもbFGFにより抑制された. 【結論】bFGFのBSP遺伝子発現に及ぼす効果は骨芽細胞の分化段階により異なることが明らかとなった. これはbFGFの骨芽細胞における情報伝達系が分化により変化したと考えられる. |
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ISSN: | 0385-0137 |