インプラント体周囲の骨変化と動揺度について

上部構造装着のインプラントでは, 咬合による荷重がインプラント体, 次いでこの体周囲の骨組織に伝達される. そのため咬合機能下インプラント体周囲の骨組織は常に変化すると考えられる. この変化を捉える方法にX線撮影や動揺度の測定がある. 演者らは咬合機能下インプラント体周囲の骨変化と動揺度の関係について検索した. 成ニホンザル両側下顎臼歯抜去の治癒後の顎骨にF2インプラントを植立した. 植立12週後に2次手術, その3週後に単独の金属冠を上部構造として装着し, 金属冠の咬合接触を残存歯と調和させた. 金属冠装着後1, 4, 8, 12週毎にTMテスタを用いてインプラントの動揺度を測定した. また...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 441
Main Authors 戸田伊紀, 池宏海, 竹村明道, 玉田善堂, 上村守, 諏訪文彦, 上田直克, 更谷啓治, 川添堯彬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
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Summary:上部構造装着のインプラントでは, 咬合による荷重がインプラント体, 次いでこの体周囲の骨組織に伝達される. そのため咬合機能下インプラント体周囲の骨組織は常に変化すると考えられる. この変化を捉える方法にX線撮影や動揺度の測定がある. 演者らは咬合機能下インプラント体周囲の骨変化と動揺度の関係について検索した. 成ニホンザル両側下顎臼歯抜去の治癒後の顎骨にF2インプラントを植立した. 植立12週後に2次手術, その3週後に単独の金属冠を上部構造として装着し, 金属冠の咬合接触を残存歯と調和させた. 金属冠装着後1, 4, 8, 12週毎にTMテスタを用いてインプラントの動揺度を測定した. また各週毎の測定後に実験動物を安楽死させ, アクリル樹脂微細血管注入法により骨, 微細血管鋳型標本を作製し, 走査電顕にて観察した. 金属冠装着後1週から8週にかけて, インプラント体周囲の骨は既存骨から経週的に増生し, インプラント体周囲を囲繞する様になっていた. 装着後8週と12週の骨増生はほぼ同様であったが, 骨を支持する骨小柱も整理され始めていた. 動揺度は骨増生に伴い, 経週的に減少する傾向を示したが, 8週から12週にかけての減少率は低下していた. これらの結果から, 金属冠装着インプラント体周囲の骨増生の経時的変化と動揺度の減少は連携していると考えられ, インプラント体周囲の骨変化を動揺度測定によって推測できることが示唆された.
ISSN:0385-0137