下部胆管に発生した腺扁平上皮癌の2例

症例1は81歳,女性.全身倦怠感を主訴に受診,総胆管腫瘤が疑われ入院となった. ERCPで下部胆管に不整形の狭窄があり胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した. 2.7×2.0cmの結節浸潤型の腫瘍で,組織像では大部分は分化した扁平上皮癌でその周囲に腺癌組織がわずかに散在していた.術後1年6カ月で肝転移で死亡したが,転移巣の穿刺吸引細胞診では角化型扁平上皮癌細胞のみであった.症例2は70歳,男性.皮膚黄染のため受診,総胆管腫瘤による閉塞性黄疸のため入院となった. PTCDで減黄した後のERCPとPTCD造影では中下部胆管に腫瘤による欠損像を認めた.胆汁細胞診で腺癌細胞を認め胆管癌の診断で膵頭...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 8; pp. 1984 - 1989
Main Authors 平野, 稔, 伊藤, 吾子, 小川, 功, 淀縄, 聡, 藤原, 明
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2002
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.1984

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Summary:症例1は81歳,女性.全身倦怠感を主訴に受診,総胆管腫瘤が疑われ入院となった. ERCPで下部胆管に不整形の狭窄があり胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した. 2.7×2.0cmの結節浸潤型の腫瘍で,組織像では大部分は分化した扁平上皮癌でその周囲に腺癌組織がわずかに散在していた.術後1年6カ月で肝転移で死亡したが,転移巣の穿刺吸引細胞診では角化型扁平上皮癌細胞のみであった.症例2は70歳,男性.皮膚黄染のため受診,総胆管腫瘤による閉塞性黄疸のため入院となった. PTCDで減黄した後のERCPとPTCD造影では中下部胆管に腫瘤による欠損像を認めた.胆汁細胞診で腺癌細胞を認め胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した. 3.4×2.4cmの乳頭浸潤型の腫瘍で,組織像では豊富な間質の中に角化型扁平上皮癌および管状腺癌が混在していた.リンパ節にも腺扁平上皮癌の転移を認めた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.1984