ネコ三叉神経節刺激による下顎口唇血管拡張反応の機序

本研究はネコ三叉神経節刺激によって起こる下顎口唇での血流増加の機序を検討した. 【方法】ネコをウレタンクロラロースパンクロニウム人工呼吸にて麻酔を維持した. 三叉神経節の電気刺激は, ear-barを用いて脳定位固定装置に固定後開頭し三叉神経節に挿入した双極電極により電気刺激(2ms, 10V, 20Hz, 20s)した. 反射性副交感神経性血管拡張反応は舌神経を露出し中枢性に電気刺激(2ms, 30V, 10Hz, 20s)し下顎口唇の血管拡張を起こした. 【結果】三叉神経節の電気刺激は下顎口唇の血流を増加させる. この増加は自律神経節遮断薬(Hexamethonium, 10 mg/kg)...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 411
Main Authors 和泉博之, 刈田啓史郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:本研究はネコ三叉神経節刺激によって起こる下顎口唇での血流増加の機序を検討した. 【方法】ネコをウレタンクロラロースパンクロニウム人工呼吸にて麻酔を維持した. 三叉神経節の電気刺激は, ear-barを用いて脳定位固定装置に固定後開頭し三叉神経節に挿入した双極電極により電気刺激(2ms, 10V, 20Hz, 20s)した. 反射性副交感神経性血管拡張反応は舌神経を露出し中枢性に電気刺激(2ms, 30V, 10Hz, 20s)し下顎口唇の血管拡張を起こした. 【結果】三叉神経節の電気刺激は下顎口唇の血流を増加させる. この増加は自律神経節遮断薬(Hexamethonium, 10 mg/kg)により100%抑制されるものと50%しか抑制されない二つのタイプに分類された. 100%抑制されるタイプは舌神経刺激による口唇血流増加が脳固定後でも変わらずに起こるが, 50%しか抑制しないタイプでは脳固定後殆ど舌神経刺激による血流増加がみられなかった. 【考察】三叉神経節の電気刺激によって起こる下顎口唇血流の増加は専ら副交感神経を介した反射性血管拡張反応であるが, 脳固定後脳幹反射が消失するタイプの動物においては逆伝導性血管拡張反応によっても起こることが判明した.
ISSN:0385-0137