肝炎症性偽腫瘍の1例

症例は51歳,女性. 1997年12月,検診で胆道系酵素異常を指摘され近医を受診.腹部CTで肝右葉後区域に腫瘤像を指摘され, 1998年1月,精査目的に当院に紹介された.血液検査では軽度の炎症反応と胆道系酵素の上昇を認めたが,ウイルス抗体,腫瘍マーカーはすべて陰性であった. US, CT, MRI,血管造影が施行されたが,画像上診断困難であったため,経皮的肝生検を行った.その結果,炎症性偽腫瘍と診断され,経過観察を行ったが,腫瘤は縮小せず,検査所見も改善しなかったため, 9月9日,肝後区域切除,胆嚢摘出術を施行した.肝炎症性偽腫瘍は原因不明の炎症性腫瘤で,比較的稀な疾患である.今回われわれは,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 1242 - 1247
Main Authors 児島, 祐, 山下, 潤, 薮内, 裕也, 島田, 健太郎, 中島, 祥介, 中野, 博重
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2001
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は51歳,女性. 1997年12月,検診で胆道系酵素異常を指摘され近医を受診.腹部CTで肝右葉後区域に腫瘤像を指摘され, 1998年1月,精査目的に当院に紹介された.血液検査では軽度の炎症反応と胆道系酵素の上昇を認めたが,ウイルス抗体,腫瘍マーカーはすべて陰性であった. US, CT, MRI,血管造影が施行されたが,画像上診断困難であったため,経皮的肝生検を行った.その結果,炎症性偽腫瘍と診断され,経過観察を行ったが,腫瘤は縮小せず,検査所見も改善しなかったため, 9月9日,肝後区域切除,胆嚢摘出術を施行した.肝炎症性偽腫瘍は原因不明の炎症性腫瘤で,比較的稀な疾患である.今回われわれは,肝炎症性偽腫瘍の1例を経験したので,過去本邦報告77例についての集計,検討結果および文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1242