ラット骨髄間葉系幹細胞/β-TCP多孔体顆粒複合体の骨形成におけるbFGFの効果について

【目的】再生医学の分野では, 幹細胞から種々の組織を作る研究が進められている. 我々は顎骨再建への応用を目的にして, 三次元培養骨髄間葉系幹細胞の骨形成能について検討を行っている. 本研究ではbFGFの骨形成促進効果に着目し, ラット骨髄間葉系幹細胞/β-TCP多孔体顆粒複合体(MSC/β-TCPG)の皮下移植モデルを用い, 骨形成に対するbFGFの効果を検索した. 【方法】7週齢Fischer系雄ラットの大腿骨骨髄細胞をα-MEM(含10%FCS, 0. 25mM AsA-2P)で培養して得られた骨髄間葉系細胞(1×106/ウェル)をβ-TCP多孔体顆粒に播種し, 10nM Dexameth...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 436
Main Authors 小園知, 横矢重俊, 福岡真一, 木下靱彦, 根岸秀幸, 川瀬俊夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
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Summary:【目的】再生医学の分野では, 幹細胞から種々の組織を作る研究が進められている. 我々は顎骨再建への応用を目的にして, 三次元培養骨髄間葉系幹細胞の骨形成能について検討を行っている. 本研究ではbFGFの骨形成促進効果に着目し, ラット骨髄間葉系幹細胞/β-TCP多孔体顆粒複合体(MSC/β-TCPG)の皮下移植モデルを用い, 骨形成に対するbFGFの効果を検索した. 【方法】7週齢Fischer系雄ラットの大腿骨骨髄細胞をα-MEM(含10%FCS, 0. 25mM AsA-2P)で培養して得られた骨髄間葉系細胞(1×106/ウェル)をβ-TCP多孔体顆粒に播種し, 10nM Dexamethasone(Dex), 2. 5ng/ml bFGF, Dex+bFGF, Dex+10mM β-Glycerophosphate Disodium Salt, Hydrate(βG), Dex+βG+bFGFをそれぞれ添加した培養液, およびコントロールとして無添加の培養液で2週間培養した. 培養終了後, 生体吸収性ポリ-L-乳酸(PLLA)メッシュのシリンダーにβ-TCPを充填し, これを同系ラットの背部皮下に移植して, 術後4週で組織学的検索を行った. 【結果及び考察】コントロールとbFGF群ではβ-TCPの多孔部に線維性組織の占有を認めるのみであった. Dexの添加群ではβ-TCPに接して新生骨を認め, その形成量はDex<Dex+bFGF<Dex+βG<Dex+βG+bFGFであった. 以上の結果, in vitroでのMSC/β-TCPGへのDex+βGとbFGFの併用はin vivoでの骨形成能に促進的に働くことが示唆された.
ISSN:0385-0137