重度重複障害児の嚥下障害・呼吸障害に対する気管・食道分離の試み
【目的】 重度重複障害児の中には呼吸不全が慢性に進行してゆく一群の者たちがいる. これには嚥下性肺炎が関与している場合も多い. 我々は反復性嚥下性肺炎による呼吸障害で気管切開を必要とした患児の一部に, 誤嚥防止を目的として気管・食道の分離・閉鎖を試み, 全身状態やADLの変化から有効性を検討した. 【方法】 当院に入院または退院し健康管理を受けている気管切開施行児20名を対象に, 気管食道の分離閉鎖を受けた9例(A群:喉頭気管分離術4例, 喉頭全摘術2例, 声門閉鎖術3例)と単純気管切開11例(B群:誤嚥群7例, その他4例)を呼吸および嚥下機能, 栄養状態, 日常生活の変化, 術後合併症など...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; pp. 962 - 963 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
1991
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】 重度重複障害児の中には呼吸不全が慢性に進行してゆく一群の者たちがいる. これには嚥下性肺炎が関与している場合も多い. 我々は反復性嚥下性肺炎による呼吸障害で気管切開を必要とした患児の一部に, 誤嚥防止を目的として気管・食道の分離・閉鎖を試み, 全身状態やADLの変化から有効性を検討した. 【方法】 当院に入院または退院し健康管理を受けている気管切開施行児20名を対象に, 気管食道の分離閉鎖を受けた9例(A群:喉頭気管分離術4例, 喉頭全摘術2例, 声門閉鎖術3例)と単純気管切開11例(B群:誤嚥群7例, その他4例)を呼吸および嚥下機能, 栄養状態, 日常生活の変化, 術後合併症などの点で比較検討した. 【結果】 A群では下気道感染症は激減し, 呼吸不全も改善傾向を示した. また9例中6例が経口摂食が可能となり, このことは生活リズムの形成・生活の活性化に役立った. B群では誤嚥防止は不完全であり, また気管カニューレおよびカフ使用により気管内肉芽・びらん等の術後合併症が多かった. 【結論】 気管・食道の分離・閉鎖は, 重症の誤嚥を呈する症例の呼吸不全を予防し, 嚥下機能のリハビリテーションに有用である. 特に喉頭気管分離術は喉頭には手術操作を加えず, 誤嚥改善時には発語機能も再建できる利点がある. このことは患者・家族の肉体的精神的負担を軽減するものと考えられ, 特に有用であると思われた. <質疑応答> 本多知行(川崎医大):(1)分離術を行う適応はどのようにお考えですか. 基準がありますか. (2)機能再建を行って再び誤嚥を起こすということはないのですか. |
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ISSN: | 0034-351X |