Pagetoid spreadを呈した粘液産生性肛門管癌の1例

腺癌細胞が連続性に隣接皮膚に進展するPagetoid spreadは, Paget病と他臓器腺癌との重複癌とは区別され,報告例も少ない.症例は49歳男性.肛門管癌の診断で腹会陰式切除術を施行した.術後の組織病理検索にて,粘液産生細胞を多く含む直腸の高分化腺癌が,肛囲皮膚に向かって,連続性に浸潤型Paget病像へ移行する所見を認め, Pagetoid spreadと診断された.本症例では皮膚側断端陰性であったが,過去の報告例でも多くは同様に,外科的手術後,組織学的に始めてPaget細胞の存在が確認されており,なかには,皮膚断端陽性となった症例も存在する. Paget細胞は大腸杯細胞と共通した免疫...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 8; pp. 1995 - 1999
Main Authors 岸, 庸二, 長谷川, 俊二, 永田, 博康, 佐々木, 勝海
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.08.2001
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Summary:腺癌細胞が連続性に隣接皮膚に進展するPagetoid spreadは, Paget病と他臓器腺癌との重複癌とは区別され,報告例も少ない.症例は49歳男性.肛門管癌の診断で腹会陰式切除術を施行した.術後の組織病理検索にて,粘液産生細胞を多く含む直腸の高分化腺癌が,肛囲皮膚に向かって,連続性に浸潤型Paget病像へ移行する所見を認め, Pagetoid spreadと診断された.本症例では皮膚側断端陰性であったが,過去の報告例でも多くは同様に,外科的手術後,組織学的に始めてPaget細胞の存在が確認されており,なかには,皮膚断端陽性となった症例も存在する. Paget細胞は大腸杯細胞と共通した免疫組織化学的特徴を持っているため,粘液産生性腺癌が表皮向性に進展したものとの説もあり,肛門癌,特に粘液産生性腺癌の症例に対しては,肛囲皮膚のmappingによるPagetoid spreadの評価が重要と考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1995