NAB2新規アイソフォームの同定
【目的】Znフィンガー型転写因子に分類されるEgr-1は, 歯や骨を含む種々の組織の細胞分化や増殖を制御すると考えられている. NAB2(NGFI-A binding protein2)は, Egr-1と結合して転写活性を抑制するコリプレッサーで, 一次構造はヒトから線虫まで極めて保存されている. NAB2には全長型の他に, 134bpの第3エクソンの欠失によりフレームシフトし, Egr-1との結合能を失うアイソフォームが見出されている. 今回我々は, NAB2の新規アイソフォームを同定した. 【方法】マウスNAB2の全長を増幅するプライマーを用いて, RT-PCRで種々の軟組織, 骨, 下顎...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 559 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.08.2001
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】Znフィンガー型転写因子に分類されるEgr-1は, 歯や骨を含む種々の組織の細胞分化や増殖を制御すると考えられている. NAB2(NGFI-A binding protein2)は, Egr-1と結合して転写活性を抑制するコリプレッサーで, 一次構造はヒトから線虫まで極めて保存されている. NAB2には全長型の他に, 134bpの第3エクソンの欠失によりフレームシフトし, Egr-1との結合能を失うアイソフォームが見出されている. 今回我々は, NAB2の新規アイソフォームを同定した. 【方法】マウスNAB2の全長を増幅するプライマーを用いて, RT-PCRで種々の軟組織, 骨, 下顎, 培養エナメル芽細胞からNAB2をクローニングし塩基配列を決定した. NAB2とEgr-1の発現ベクターを構築し, 免疫沈降およびプロモーターアッセイを行った. 【結果及び考察】RT-PCRで検討した全試料で約1.6kと1.4kのNAB2のバンドを検出した. これらは, 全長型NAB2と192塩基が欠失した新規アイソフォーム(NAB2c)であった. 欠失した192塩基は第6エクソンに相当することが判明したが, 第3エクソンの欠失したアイソフォームは見出されなかった. NAB2cは全長型NAB2と同様にEgr-1と結合し, Egr-1の転写活性を抑制した. 従って, 今回同定された新規アイソフォームNAB2cは, Egl-1のコリプレッサーであると考えられる. 【会員外共同研究者】今田真奈(昭和大) |
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ISSN: | 0385-0137 |