IL-1α/β double knockout(IL-KO)マウスでの骨代謝:血清CaのLPSに対する反応

【目的】IL-1は炎症, 免疫反応の誘導因子であり, また, 破骨細胞を活性化して強い骨吸収作用をもつ. しかしIL-1KOマウスの成長に異常はみられない. IL-1による破骨細胞活性化の生物学的意味を明らかにするために, IL-1と骨代謝との関系をIL-1KOマウスを用いて検討した. 【方法】IL-1KO BALB/cマウスおよび対照BALB/cマウスにE. coli LPSを投与し, その後の血清Caを測定した. 【結果】対照マウスではLPS投与後3時間で有意に血清Caが低下し, 数時間後には回復した. IL-1KO BALB/cマウスでは血清Caの低下は殆ど検出されなかった. 【考察】対...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 575
Main Authors 小栗千里, 茂木克俊, 遠藤康男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.08.2001
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】IL-1は炎症, 免疫反応の誘導因子であり, また, 破骨細胞を活性化して強い骨吸収作用をもつ. しかしIL-1KOマウスの成長に異常はみられない. IL-1による破骨細胞活性化の生物学的意味を明らかにするために, IL-1と骨代謝との関系をIL-1KOマウスを用いて検討した. 【方法】IL-1KO BALB/cマウスおよび対照BALB/cマウスにE. coli LPSを投与し, その後の血清Caを測定した. 【結果】対照マウスではLPS投与後3時間で有意に血清Caが低下し, 数時間後には回復した. IL-1KO BALB/cマウスでは血清Caの低下は殆ど検出されなかった. 【考察】対照マウスでのLPSによる血清Caの減少は, LPSによる免疫系の活性化に伴うCaの要求性を反映し, また, IL-1KOマウスで血清Caが低下しないことは, 免疫系の活性化にlL-1が重要であることを示す. LPS投与対照マウスでは, 血清Caの低下と同時に血清IL-1レベルが上昇する. 従って, 血清Caの速やかな回復はIL-1による破骨細胞の活性化によるものと考えられ, また, 免疫系の活性化と破骨細胞の活性化は連動するものと思われる. IL-1は生理的な骨の形態と形成に全く関与しないとの船山らの結論(本学会)を考慮すると, IL-1による破骨細胞活性化の生物学的意味は骨代謝ではなく免疫系へのCaの供給であると考えられる.
ISSN:0385-0137