温度感受性変異株を用いたp53関連遺伝子のクローニング

我々はこれまでヒトp53癌抑制遺伝子の138番目のアラニンをバリンにかえた温度感受性変異株を作成し, ヒト細胞に導入し, 低温シフト後にG1とG2/M期で細胞周期の停止を生じるSaos-2細胞を樹立した. この細胞株を用いてp53遺伝子の下流にある遺伝子の単離を試みた. [方法]Aphidicolin処理によりS期のはじめに同調し, 薬剤除去後低温(32.5℃)と高温(37.5℃)で一定時間培養後RNAを抽出した. 精製したポリA-RNAを用いてdifferential displayを行った. 低温にシフトしたサンプルに強く検出されたバンドをゲルより抽出しTAプラスミドにクローニングし, イ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 424
Main Authors 入谷昭男, 中島琢磨, 土田信夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:我々はこれまでヒトp53癌抑制遺伝子の138番目のアラニンをバリンにかえた温度感受性変異株を作成し, ヒト細胞に導入し, 低温シフト後にG1とG2/M期で細胞周期の停止を生じるSaos-2細胞を樹立した. この細胞株を用いてp53遺伝子の下流にある遺伝子の単離を試みた. [方法]Aphidicolin処理によりS期のはじめに同調し, 薬剤除去後低温(32.5℃)と高温(37.5℃)で一定時間培養後RNAを抽出した. 精製したポリA-RNAを用いてdifferential displayを行った. 低温にシフトしたサンプルに強く検出されたバンドをゲルより抽出しTAプラスミドにクローニングし, インサートの塩基配列を決定した. [まとめ]現在まで少なくとも5つのクローンを単離し, そのうち2つはp53のターゲット遺伝子であると報告されているBTG2とPIG3の既知のクローンであった. また他の1つはフコシダーゼの塩基配列と一致した. その他未知のクローンについてはcDNAライブラリーから遺伝子の単離を試みている.
ISSN:0385-0137