覚醒サル顔面皮膚感覚入力を受ける大脳皮質第一次体性感覚野ニューロン活動の温度刺激による変調

覚醒動物における大脳皮質第一次体性感覚野(SI)ニューロンの温度受容機構を明らかにするため, 温度変化を弁別できるように訓練したサルのSIから顔面皮膚の温度刺激に応答するニューロン活動を記録し, その応答様式およびサルの刺激強度弁別行動との関係について解析した. 【方法】サルがボタンを押すと顔面皮膚上に45~47℃の熱刺激, 20~25℃の冷, 光あるいは光+熱刺激が与えられる. サルがボタンを4~8秒間押しつづけると温度変化あるいは照度変化が与えられる. サルは刺激強度変化を弁別しボタンを離す. 課題遂行中にSIから単一ニューロン活動を記録し, その電気生理学的性質および弁別行動との関係につ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 499
Main Authors 岩田幸一, 田代晃正, 田村泰久, 増田裕次, 坪井美行, 角野隆二, 森本俊文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:覚醒動物における大脳皮質第一次体性感覚野(SI)ニューロンの温度受容機構を明らかにするため, 温度変化を弁別できるように訓練したサルのSIから顔面皮膚の温度刺激に応答するニューロン活動を記録し, その応答様式およびサルの刺激強度弁別行動との関係について解析した. 【方法】サルがボタンを押すと顔面皮膚上に45~47℃の熱刺激, 20~25℃の冷, 光あるいは光+熱刺激が与えられる. サルがボタンを4~8秒間押しつづけると温度変化あるいは照度変化が与えられる. サルは刺激強度変化を弁別しボタンを離す. 課題遂行中にSIから単一ニューロン活動を記録し, その電気生理学的性質および弁別行動との関係について解析した. 【結果および考察】顔面口腔領域に受容野を持つ81個のSIニューロン活動を記録した. この内11個は顔面皮膚に与えた温度刺激によりスパイク頻度を変調した. この内3個は記録と同側皮膚に, 8個は対側皮膚に受容野を持っていた. 熱刺激に応答するニューロンは刺激強度増加に伴ってスパイク頻度を増し, 弁別速度が速い場合ほど高いスパイク頻度を示した. さらに, これらのニューロンの多くは刺激が与えられる前から活動性を増し, あるものは光刺激により変調を受けた. 以上の結果から, 温度刺激により変調を受けるSIニューロンは刺激の強度弁別だけでなく予測にも関係した働きを有する可能性が示唆された.
ISSN:0385-0137