顎関節炎により変調を受ける侵害受容ニューロンの延髄後角内における神経連絡
【目的】顎関節にCFAを注入し作製した, 顎関節炎モデルラットの延髄後角では, Fos LI cellsが, 尾側亜核と中間亜核の移行部領域(Vi/Vc zone)と上部頚髄(Vc/C2 zone)の2つの領域に分かれて発現することが明らかにされている. これらの2つの領域は, 顎関節炎により誘導される慢性痛発症に対し, 異なる役割を有すると報告されているが, それぞれの領域の機能の違いについては全く明らかにされていない. そこで本研究ではこれら2つの領域の慢性痛発症に対する機能的役割を明らかにすることを目的とした. 【方法】実験にはSD系雄性ラットを用いた. 顎関節にCFAを, また, Vi...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 482 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】顎関節にCFAを注入し作製した, 顎関節炎モデルラットの延髄後角では, Fos LI cellsが, 尾側亜核と中間亜核の移行部領域(Vi/Vc zone)と上部頚髄(Vc/C2 zone)の2つの領域に分かれて発現することが明らかにされている. これらの2つの領域は, 顎関節炎により誘導される慢性痛発症に対し, 異なる役割を有すると報告されているが, それぞれの領域の機能の違いについては全く明らかにされていない. そこで本研究ではこれら2つの領域の慢性痛発症に対する機能的役割を明らかにすることを目的とした. 【方法】実験にはSD系雄性ラットを用いた. 顎関節にCFAを, また, Vi/Vc zoneにFluolo Gold(FG)を注入した顎関節炎モデルラットを作成した. 注入した3日後にpentobarbital-Na(80mg/kg. ip. )にて麻酔し灌流固定後, Vi/Vc zoneからVc/C2 zoneを含む延髄領域の連続組織切片を作成し, Fos LI cellおよびFGの二重免疫組織染色を施した. 【結果と考察】顎関節炎モデル動物において, Vi/Vc zoneおよびVc/C2 zoneに多くのFos LI cellsが発現した. Vi/Vc zoneのFG注入により, 逆行性にラベルされたニューロンの多くはVc/C2 zoneの深層から検出された. Vc/C2 zone内においてFosおよびFGにより二重染色された細胞はVc/C2 zoneの深層に少数分布していた. この結果から, Vc/C2 zoneの深層ニューロンのあるものはVi/Vc zoneに分布する侵害受容ニューロン活動を直接変調する可能性が示された. |
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ISSN: | 0385-0137 |