唾液腺筋上皮細胞におけるGDNFの発現
【目的】GDNF(glial cell line-derived neurotrophic factor, グリア細胞株由来神経栄養因子)は, 構造上はTGF-βスーパーファミリーに属し, ドーパミンニューロンの他に運動, 知覚, および自律神経細胞に対して栄養効果を及ぼす神経栄養因子である. このGDNFが唾液腺の筋上皮細胞に発現したので報告する. 【方法】成熟ddYマウスの舌後部のエブネル腺と粘液腺, さらに顎下腺, 舌下腺, 耳下腺を切り出し, Zamboni液で固定後, 凍結切片を作製し, GDNFとその受容体のGFRα1とRetの各抗体の免疫蛍光法を行った. さらに蛍光phalloi...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 450 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】GDNF(glial cell line-derived neurotrophic factor, グリア細胞株由来神経栄養因子)は, 構造上はTGF-βスーパーファミリーに属し, ドーパミンニューロンの他に運動, 知覚, および自律神経細胞に対して栄養効果を及ぼす神経栄養因子である. このGDNFが唾液腺の筋上皮細胞に発現したので報告する. 【方法】成熟ddYマウスの舌後部のエブネル腺と粘液腺, さらに顎下腺, 舌下腺, 耳下腺を切り出し, Zamboni液で固定後, 凍結切片を作製し, GDNFとその受容体のGFRα1とRetの各抗体の免疫蛍光法を行った. さらに蛍光phalloidinによりF-アクチンの検出を試みた. 【結果と考察】抗GDNF抗体は, 舌のエブネル腺と粘液腺, 顎下腺, 舌下腺, 耳下腺の各終末部および小葉内導管部の基底側に楕円形ないし三角形の核周囲部を持ち, 基底側に沿って長い突起を伸ばす筋上皮細胞に陽性を示した. 蛍光phalloidinはGDNFと同様の反応をこれらの腺の筋上皮細胞において示し, さらに腺細胞の膜に沿って陽性を呈した. 抗GFRα1抗体は舌エブネル腺の腺細胞で弱陽性であったが, 筋上皮細胞は陰性であり, 他の腺ではすべて陰性であった. 抗Ret抗体はすべての腺で陰性であった. 以上より, 唾液腺の筋上皮細胞はGDNFを発現しており, このGDNFは腺を支配する自律ニューロンに対して神経栄養作用を及ぼすものと思われる. |
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ISSN: | 0385-0137 |