ラット歯髄の頭部皮下移植実験における骨基質タンパクのmRNA発現について

【目的】歯髄組織は, 増齢的に及び種々の病的状態下において, 異栄養性石灰化を起こすことが知られている. 今回, 歯髄組織の異栄養性石灰化の機構や石灰化過程における歯髄組織の変化を調べるため, ラット切歯歯髄の頭部皮下移植実験を行った. 【方法】生後3週齢のSD系ラットの上顎切歯歯髄を同系ラットの頭部皮下に移植した. 移植片は, 通法により非脱灰パラフィン切片を作成し, 骨基質タンパクのmRNAの発現をin situhybridization法を用いて検討した. 【結果及び考察】移植後6日目より移植組織片周辺部にVonKossa染色にて陽性を示す石灰化物が認められ, 経時的に石灰化物は増加した...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 454
Main Authors 山添知弘, 青木和広, 下川仁弥太, 高木裕三, 大谷啓一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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Summary:【目的】歯髄組織は, 増齢的に及び種々の病的状態下において, 異栄養性石灰化を起こすことが知られている. 今回, 歯髄組織の異栄養性石灰化の機構や石灰化過程における歯髄組織の変化を調べるため, ラット切歯歯髄の頭部皮下移植実験を行った. 【方法】生後3週齢のSD系ラットの上顎切歯歯髄を同系ラットの頭部皮下に移植した. 移植片は, 通法により非脱灰パラフィン切片を作成し, 骨基質タンパクのmRNAの発現をin situhybridization法を用いて検討した. 【結果及び考察】移植後6日目より移植組織片周辺部にVonKossa染色にて陽性を示す石灰化物が認められ, 経時的に石灰化物は増加した. 移植期間7日間を通してトルイジンブルー染色でメタクロマジーを起こす部位がないことから, 軟骨性の石灰化ではないことが示唆された. またosteopontin(OPN), bone sialoprotein(BSP)のmRNAの発現が移植後3日目から移植片自身の周辺部に認められ, 移植期間の経過とともに発現の増加した. 一方, type II collagenおよびBMP type 2のmRNAの発現は認められなかった. これらの結果より, ラット歯髄組織の頭部皮下移植実験においてOPNおよびBSPが石灰化物形成に関与している可能性が示唆された.
ISSN:0385-0137