ラット舌下腺腺房細胞の開口放出関連タンパク質

ラット舌下腺腺房細胞においては, ムスカリン性受容体の活性化によりムチンの開口放出が引き起こされる. ムチン開口放出の分子機構を明らかにする目的で, ラット舌下腺腺房細胞における開口放出関連タンパク質の存在について検討した. 方法:ラット舌下腺腺房細胞はトリプシンとコラゲナーゼを用いて分離した. 開口放出関連タンパク質の検出は, 特異抗体を用い, ウエスタンブロッティングにより行った. 結果および考察:神経終末に存在する開口放出関連タンパク質について検討したところ, ラット舌下腺腺房細胞の膜画分にはシンタキシン1Aの存在が認められた. しかし細胞膜に存在するといわれるSNAP-25や, 分泌顆...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 407
Main Authors 杉谷博士, 吉垣純子, 道家洋子, 横山三紀, 古山俊介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
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Summary:ラット舌下腺腺房細胞においては, ムスカリン性受容体の活性化によりムチンの開口放出が引き起こされる. ムチン開口放出の分子機構を明らかにする目的で, ラット舌下腺腺房細胞における開口放出関連タンパク質の存在について検討した. 方法:ラット舌下腺腺房細胞はトリプシンとコラゲナーゼを用いて分離した. 開口放出関連タンパク質の検出は, 特異抗体を用い, ウエスタンブロッティングにより行った. 結果および考察:神経終末に存在する開口放出関連タンパク質について検討したところ, ラット舌下腺腺房細胞の膜画分にはシンタキシン1Aの存在が認められた. しかし細胞膜に存在するといわれるSNAP-25や, 分泌顆粒に存在するVAMP-2はほとんど検出されなかった. 膵臓腺房細胞に存在し, シンタキシン1Aと結合するタンパク質のシンコリンはラット舌下腺腺房細胞にはほとんど検出されなかった. われわれは既に, ラット耳下腺腺房細胞においてはVAMP-2が分泌顆粒に存在し, アミラーゼ開口放出に関与することを報告しているが, ラット舌下腺腺房細胞におけるムチンの開口放出には, ラット耳下腺腺房細胞や膵臓腺房細胞での開口放出とは異なった分子機構の存在が示唆された.
ISSN:0385-0137