栃木県足利赤十字病院における結核症例5年間(2007~2011年)の検討 地域医療,国際保健の視点を含めて

〔目的〕栃木県南部の足利赤十字病院にて5年間の結核症例を集積し,当地域における結核動向を探ることを目的とした。〔対象と方法〕2007年1月から2011年12月までに当院から新規結核届出登録を行った273例を対象とした。〔結果〕結核症例のうち,日本人症例は255例認め,202例(79%)は60歳以上であり,外国籍症例は50歳未満の18例(同年齢層の32%)であった。潜在性結核感染症は60歳未満の10例に認めた。胸膜中心に肺外結核を24例認めた。肺結核239例のうち,喀痰塗抹陽性は160例(67%),空洞形成は99例(41%)であった。薬剤耐性結核は,多剤耐性1例,イソニアジド(INH)耐性2例,...

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Published in結核 Vol. 88; no. 7; pp. 589 - 593
Main Authors 島田, 瑞穂, 亀山, 洋樹, 池村, 辰之介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 2013
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Summary:〔目的〕栃木県南部の足利赤十字病院にて5年間の結核症例を集積し,当地域における結核動向を探ることを目的とした。〔対象と方法〕2007年1月から2011年12月までに当院から新規結核届出登録を行った273例を対象とした。〔結果〕結核症例のうち,日本人症例は255例認め,202例(79%)は60歳以上であり,外国籍症例は50歳未満の18例(同年齢層の32%)であった。潜在性結核感染症は60歳未満の10例に認めた。胸膜中心に肺外結核を24例認めた。肺結核239例のうち,喀痰塗抹陽性は160例(67%),空洞形成は99例(41%)であった。薬剤耐性結核は,多剤耐性1例,イソニアジド(INH)耐性2例,エタンブトール(EB)耐性3例であった。治療中の結核死亡は,50歳代1例,60歳以上では40例(20%)であった。基礎疾患の合併を135例に認め,糖尿病と慢性腎不全で半数を占めた。88%の結核症例は他院からの紹介であった。〔結語〕結核は,当地域における地域医療に関わる誰もが遭遇しうる高齢男性に多い疾患であることが改めて示された。一方,若年層での外国籍症例は3割を超え,将来の結核動向への影響が示唆された。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku.88.589