血球数算定時に得られる赤血球容積分布幅の腎機能マーカーとしての可能性
赤血球容積分布幅変動係数(RDW-CV)は従来小球性貧血の指標として用いられ,近年では心血管疾患との関連性が注目されている。今回我々はRDW-CVと腎機能との関連性に着目し,腎機能スクリーニングマーカーとしての可能性について検討を行った。対象はシスタチンCの測定依頼を含む18歳以上の血液検査データ11,921件とした。患者情報および血液検査データより推算糸球体濾過量(eGFR)を算出し,慢性腎臓病(CKD)ガイドラインのGFR区分に準じて群分けを行った。GFR区分によるRDW-CV値の比較において,血清クレアチニンから求めたeGFRcreによるGFR区分では,腎機能低下とRDW-CVの間に明ら...
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Published in | 医学検査 Vol. 73; no. 4; pp. 749 - 756 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
25.10.2024
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Summary: | 赤血球容積分布幅変動係数(RDW-CV)は従来小球性貧血の指標として用いられ,近年では心血管疾患との関連性が注目されている。今回我々はRDW-CVと腎機能との関連性に着目し,腎機能スクリーニングマーカーとしての可能性について検討を行った。対象はシスタチンCの測定依頼を含む18歳以上の血液検査データ11,921件とした。患者情報および血液検査データより推算糸球体濾過量(eGFR)を算出し,慢性腎臓病(CKD)ガイドラインのGFR区分に準じて群分けを行った。GFR区分によるRDW-CV値の比較において,血清クレアチニンから求めたeGFRcreによるGFR区分では,腎機能低下とRDW-CVの間に明らかな傾向を認めなかった。しかし,CysCから求めたeGFRcysによるGFR区分では腎機能低下に伴い,RDW-CV値が増加する傾向にあった。eGFRcysによるGFR区分G1 + G2群とG4 + G5群の鑑別能を求めたところ,受診者対象曲線下面積は0.681であり,そのオッズ比(95%信頼区間)は1.27(1.23–1.31)であった。オッズ比は性別,年齢,血清クレアチニン,赤血球数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット値による補正後も有意であり,GFR区分進行に対する独立した因子であることが推察された。本研究結果によりRDW-CVは腎機能スクリーニングマーカーとしての可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.23-101 |