心臓カテーテル検査後の上肢固定法の検討 新シーネを用いた苦痛の緩和

【目的】当院で行なわれる心臓カテーテル検査・治療の約90%が上腕動脈から行なわれる。シーネ固定後、上肢の疼痛・腫脹を訴える患者が多いことから、シーネ固定による苦痛が大きいと考えた。そこで心臓カテーテル検査・治療後の患者に対してより安全で安楽な上肢固定法を実施するために新シーネ(シーネB)を作成し、従来のシーネ(シーネA)と比較検討したので報告する。 【方法】従来のシーネの問題点を検討し、それをもとに新たにシーネを作成した。シーネBの改良点は、(1)シーネの長さを短くした、(2)皮膚に接する部分を肌触りがよく弾力性のある素材に改良した、(3)肘関節の部分に角度をつけた、(4)両側面をなくした形に...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 71
Main Authors 池井, 肇, 春田, さゆり, 小井出, 秀美, 宮川, 茂美, 中野, 文枝, 黒澤, 佳代, 小林, 秀幸, 三石, 晴子, 高木, 一生, 依田, 尚美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2005
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.54.0.71.0

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Summary:【目的】当院で行なわれる心臓カテーテル検査・治療の約90%が上腕動脈から行なわれる。シーネ固定後、上肢の疼痛・腫脹を訴える患者が多いことから、シーネ固定による苦痛が大きいと考えた。そこで心臓カテーテル検査・治療後の患者に対してより安全で安楽な上肢固定法を実施するために新シーネ(シーネB)を作成し、従来のシーネ(シーネA)と比較検討したので報告する。 【方法】従来のシーネの問題点を検討し、それをもとに新たにシーネを作成した。シーネBの改良点は、(1)シーネの長さを短くした、(2)皮膚に接する部分を肌触りがよく弾力性のある素材に改良した、(3)肘関節の部分に角度をつけた、(4)両側面をなくした形にしたことにある。平成16年7月1日から平成16年10月30日の間、待機的に上腕動脈から心臓カテーテル検査・治療を受けた患者全員を対象に、検査終了後、4時間シーネを装着してもらい、シーネAを装着した患者24名(A群)とシーネBを装着した患者11名(B群)の穿刺部について比較した。 【結果】患者背景及び、皮下出血・血腫・麻痺などの合併症の出現について、両群間に差は見られなかった。腫脹の出現率は、A群46%、B群27%であった。また、A群の33%、B群の9%にしびれの訴えがあった。腫脹・しびれは、統計学的有意差は認められないものの、B群で低い傾向にあった。また、シーネAの購入価格は3400円、シーネBの製作費は男性用3018円・女性用2875円であった。 【考察】今回、新たに作成したシーネでは過伸展を防ぎ安楽な肢位を保てるよう肘関節をわずかに屈曲させた。そのことで圧迫固定の圧が減少し、出血や血腫などの合併症が増えることが予想された。しかし、今回の結果では合併症の増加は認められず、安全性は保たれていると考えられた。また、腫脹・しびれなどの症状が減少したことで、患者の安楽度もより高まったと考えられた。さらに、コストの面でもシーネBの方が優れていた。コスト面についてシーネA・Bともに同じ程度の価格であった。しかし、シーネBでは、肘関節部に角度をつけるために芯の部分にオルソグラスシーネを使用しており、そのためにコストがかかっている。素材を検討していくことで更にコストを削減することができる。
Bibliography:1G10
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.54.0.71.0