薬剤ストレスを受けた微生物細胞の基質酸化活性の電気化学的測定

微生物全細胞のグルコース酸化活性を電気化学的に測定する方法を用いて, 微生物に及ぼす薬剤の影響について調べた. Escherichia coli IFO3301 (E. coli) やLactobacillus plantarum IFO14711 (L. plantarum) の細胞にエタノール, 過酸化水素, 次亜塩素酸のような薬剤を作用させると, 薬剤濃度の増加とともにグルコース酸化活性及びコロニー形成能が低下した. 両菌のグルコース酸化活性は, コロニー形成能に比べて薬剤感受性が高かった. Pseudomonas putida IFO14164 (P. putida) のグルコース酸化...

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Published in分析化学 Vol. 51; no. 6; pp. 449 - 454
Main Authors 近藤, 徹弥, 池田, 篤治, 河合, 久美子, 安本, 教傳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.06.2002
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.51.449

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Summary:微生物全細胞のグルコース酸化活性を電気化学的に測定する方法を用いて, 微生物に及ぼす薬剤の影響について調べた. Escherichia coli IFO3301 (E. coli) やLactobacillus plantarum IFO14711 (L. plantarum) の細胞にエタノール, 過酸化水素, 次亜塩素酸のような薬剤を作用させると, 薬剤濃度の増加とともにグルコース酸化活性及びコロニー形成能が低下した. 両菌のグルコース酸化活性は, コロニー形成能に比べて薬剤感受性が高かった. Pseudomonas putida IFO14164 (P. putida) のグルコース酸化活性は, E. coli やL. plantarum と異なり, 薬剤感受性が低かった. P. putida 細胞に26%エタノール又は0.5%過酸化水素を30℃, 10分間作用させると, コロニー形成能は消失するが, グルコース酸化活性は95%エタノール又は3%過酸化水素処理でも約20%残存した. 対数増殖期のP. putida やE. coli 細胞のコロニー形成能及びグルコース酸化活性は, 定常期に比べて次亜塩素酸に対する感受性が高かった. 低濃度の次亜塩素酸でP. putida 細胞を処理すると, コロニー形成能の薬剤耐性は増大したが, グルコース酸化活性の耐性は低下した. E. coli では, 次亜塩素酸による前処理はコロニー形成能とグルコース酸化活性の両方の薬剤耐性を増大させた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.51.449