がん患者の意思決定支援プロセスに効果的に関与していた相談技術
「要旨」【研究目的】患者の意思決定プロセスに効果的に関与していた相談技術を抽出し, がん患者の意思決定プロセスを支援する共有型看護相談モデル(NSSDM)の改変を行うこと. 【研究方法】がん診療連携拠点病院の相談支援センターで, 看護師が対応した面談記録の中から, 「患者の意思決定プロセスに効果的に関与していた相談技術」の構成要素を抽出した. その後, NSSDMに含まれてない新たな看護療養相談技術を抽出しNSSDMの改変を行った. 【結果】既存のNSSDMには含まれていない新たな看護療養相談技術として, 身体状況を判断して潜在的な意思決定能力をモニターするという技術が抽出された. さらに,...
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Published in | 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 24; pp. 1 - 11 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所
01.03.2017
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ISSN | 1881-6592 |
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Summary: | 「要旨」【研究目的】患者の意思決定プロセスに効果的に関与していた相談技術を抽出し, がん患者の意思決定プロセスを支援する共有型看護相談モデル(NSSDM)の改変を行うこと. 【研究方法】がん診療連携拠点病院の相談支援センターで, 看護師が対応した面談記録の中から, 「患者の意思決定プロセスに効果的に関与していた相談技術」の構成要素を抽出した. その後, NSSDMに含まれてない新たな看護療養相談技術を抽出しNSSDMの改変を行った. 【結果】既存のNSSDMには含まれていない新たな看護療養相談技術として, 身体状況を判断して潜在的な意思決定能力をモニターするという技術が抽出された. さらに, NSSDM内にある技術の下位項目として, これまでの療養生活をねぎらう, 患者の療養生活に対する認識を認め肯定的な評価をかえす, 意思決定に猶予を与える, 誤解している認識を解きほぐす, 対処の緊急性や重要性を伝える, サポートの求め方を伝える, 段階的な取り組みが必要であることを伝える, 医学的な知識を理解して判断する方法を伝える, 現実的な行動の意思を強める, 見えてきた方向性を確認する, 以上10の看護療養相談技術が抽出された. さらに, NSSDM内の5つの技術の用い方として, 必要度の高い技術から順に循環させ, 患者の状況や反応に応じて強弱をつけながら複数の技術を同時に用いる様相が明らかとなった. 【考察】がん医療が多様化している中でSDMを実践するためには, 看護師のみではなく, 患者を取り巻く医療環境全体で取り組む必要があり, インフォームドチョイスに繋がるリスクコミュニケーションを意図的に行っていく必要がある. NSSDMの臨床適応するためには, 看護師が患者の価値観や意思決定に関わる体験を振り返る機会を設定し, 知識を実践へ活かすための訓練の場を設定する必要があるといえる. |
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ISSN: | 1881-6592 |