オランダにおけるケア・ファームの2つの方向性と日本におけるユニバーサル農園の今後の展開

「要約」本稿ではオランダのケア・ファーム4事例について, 先行研究を参考に「ビジネスとして事業を拡大する方向」と「多角化を進めながら地元住民等との関係性を重視する方向」に分類し各特徴を整理した. 前者は請負業務や活動拠点を増やすことにより障害者の居場所を拡大させ, 後者は園主やその家族が医療や福祉の知識・技術を持つことを強みとして, 大規模農家との棲み分けを図っていた. ケア・ファームでは農業の療法的効用やリハビリ機能を発揮させる仕組みが確立され, 地域ニーズに合わせた利用者層の明確化, 支援内容とその限界を念頭に入れた取組が展開している. そのノウハウやケアの品質・基準を, 農業サイド, 福...

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Published in職業リハビリテーション Vol. 38; no. 2; pp. 25 - 32
Main Authors 中本英里, 菊川裕幸, 豊田正博, 吉田行郷
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本職業リハビリテーション学会 30.03.2025
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ISSN0915-0870

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Summary:「要約」本稿ではオランダのケア・ファーム4事例について, 先行研究を参考に「ビジネスとして事業を拡大する方向」と「多角化を進めながら地元住民等との関係性を重視する方向」に分類し各特徴を整理した. 前者は請負業務や活動拠点を増やすことにより障害者の居場所を拡大させ, 後者は園主やその家族が医療や福祉の知識・技術を持つことを強みとして, 大規模農家との棲み分けを図っていた. ケア・ファームでは農業の療法的効用やリハビリ機能を発揮させる仕組みが確立され, 地域ニーズに合わせた利用者層の明確化, 支援内容とその限界を念頭に入れた取組が展開している. そのノウハウやケアの品質・基準を, 農業サイド, 福祉サイドが共通して理解を深められるよう体制を整備することは, 今後, ユニバーサル農園を含む広義の農福連携の推進において参考になると考えられた.
ISSN:0915-0870