スポーツ選手の腱板筋肉離れの特徴
〔要旨〕スポーツ選手の腱板筋肉離れの特徴を明らかにすることを目的とした. 2015年3月から2022年4月の間にMRIにて腱板筋肉離れと診断されたスポーツ選手36例, 損傷筋43件を対象とした. 各腱板筋肉離れの件数と損傷部位, 外傷の有無, 複合損傷の有無, JISS分類, スポーツ種目, 受傷動作・損傷誘発動作について診療録を後ろ向きに調査した. 棘下筋肉離れは9件であり, 損傷部位は横走線維や斜走線維であった. 外傷なしが有意に多かった. 全例複合損傷であり, I型1度8件, II型1度1件であった. オーバーヘッド (以下, OH) スポーツに多く, OH動作での受傷が多かった. 棘上...
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Published in | 日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 32; no. 3; pp. 391 - 399 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床スポーツ医学会
31.08.2024
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ISSN | 1346-4159 |
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Summary: | 〔要旨〕スポーツ選手の腱板筋肉離れの特徴を明らかにすることを目的とした. 2015年3月から2022年4月の間にMRIにて腱板筋肉離れと診断されたスポーツ選手36例, 損傷筋43件を対象とした. 各腱板筋肉離れの件数と損傷部位, 外傷の有無, 複合損傷の有無, JISS分類, スポーツ種目, 受傷動作・損傷誘発動作について診療録を後ろ向きに調査した. 棘下筋肉離れは9件であり, 損傷部位は横走線維や斜走線維であった. 外傷なしが有意に多かった. 全例複合損傷であり, I型1度8件, II型1度1件であった. オーバーヘッド (以下, OH) スポーツに多く, OH動作での受傷が多かった. 棘上筋肉離れは18件であり, 損傷部位は前方線維, 棘上窩側, 後方線維であった. 外傷や複合損傷の有無では有意差はなく, I型1度14件, I型2度3件, II型1度1件であった. スポーツ種目は野球が多く, 投球動作での受傷が多かった. 肩甲下筋肉離れは16件であり, 損傷部位は上部線維, 上部から下部線維, 中部から下部線維であった. 外傷ありが多い傾向にあるが, 有意差はなかった. 複合損傷なしが有意に多く, I型1度10件, II型1度6件であった. OHスポーツだけでなく, コンタクトスポーツにも認められ, 肩関節外転・外旋強制での受傷が多かった. 各腱板筋肉離れに特徴があり, OHやコンタクトスポーツによる肩のスポーツ障害では腱板筋肉離れも鑑別する必要がある. |
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ISSN: | 1346-4159 |