胃悪性リンパ腫治療中に, 慢性膿胸より再燃した胸囲結核の1例

「要旨」 : 79歳男性. 結核に対しての化学療法歴がある. 慢性膿胸を指摘されていたが, 画像所見, 自覚症状の変化は認めていなかった. X年10月, 胃原発の悪性リンパ腫と診断され, R-CHOP (rituximab, pirarubicin, cyclophosphamide, vincristine, prednisolone) にて加療された. 1コース目day 23に発熱を認め, 血液培養よりStreptococcus intermediusが検出された. 肝膿瘍も認められ, 同部位からも同菌種が検出された. 抗菌薬投与により, 敗血症, 肝膿瘍は軽快した. day 53よりpr...

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Published in結核 Vol. 91; no. 4; pp. 475 - 479
Main Authors 弓場達也, 初瀬真弓, 児玉真衣, 宇田紗也佳, 吉村彰紘, 栗栖直子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.04.2016
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 79歳男性. 結核に対しての化学療法歴がある. 慢性膿胸を指摘されていたが, 画像所見, 自覚症状の変化は認めていなかった. X年10月, 胃原発の悪性リンパ腫と診断され, R-CHOP (rituximab, pirarubicin, cyclophosphamide, vincristine, prednisolone) にて加療された. 1コース目day 23に発熱を認め, 血液培養よりStreptococcus intermediusが検出された. 肝膿瘍も認められ, 同部位からも同菌種が検出された. 抗菌薬投与により, 敗血症, 肝膿瘍は軽快した. day 53よりprednisoloneを除いたレジメンで治療を再開した. Day 75に3コース目を施行したが, この直後より右前胸部に皮下腫瘤を認めるようになった. 胸部CTでは胸膜炎の膿瘍成分の増加を認め, 皮下への穿破を認めた. 皮下病変を穿刺したところ, 抗酸菌塗抹陽性であり, PCRにて結核菌が証明され, 胸囲結核と診断された. 上部消化管内視鏡によると胃病変は軽快しており, リンパ腫への治療は中断し, 抗結核薬4剤による治療を行い, 軽快を認めた. 本邦において高齢者の慢性膿胸は, しばしば認められる所見であり, 同様の患者に免疫抑制・化学療法を施行する場合, 結核の再燃を念頭におく必要があると考えられ報告した.
ISSN:0022-9776