股関節内転筋肉ばなれの特徴 - 損傷部位と疼痛自覚部位の関係

〔要旨〕(目的) 股関節内転筋 (内転筋) 肉ばなれの特徴を調査すること. (対象・方法) 2015年3月から2022年12月までに当院を受診しMRIで内転筋肉ばなれと診断された学生スポーツ競技者90例102ヵ所を対象とした. 検討項目は対象者基本情報, 疼痛自覚部位, スポーツ種目, 内転筋の単独損傷か複数損傷か, 単独損傷例における損傷部位と疼痛自覚部位の関係, 疼痛自覚から受診までの期間, 外傷の有無, JISS分類による損傷型と損傷度とした. (結果) 全例における疼痛自覚部位は鼠径部が40%, 大腿内側部が29%だった. スポーツ種目はサッカーが47%と最多であった. 内転筋肉ばなれ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 32; no. 3; pp. 484 - 491
Main Authors 氷見量, 石川徹也, 杉山貴哉, 三宅秀俊, 渡辺知真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2024
Online AccessGet full text
ISSN1346-4159

Cover

Loading…
More Information
Summary:〔要旨〕(目的) 股関節内転筋 (内転筋) 肉ばなれの特徴を調査すること. (対象・方法) 2015年3月から2022年12月までに当院を受診しMRIで内転筋肉ばなれと診断された学生スポーツ競技者90例102ヵ所を対象とした. 検討項目は対象者基本情報, 疼痛自覚部位, スポーツ種目, 内転筋の単独損傷か複数損傷か, 単独損傷例における損傷部位と疼痛自覚部位の関係, 疼痛自覚から受診までの期間, 外傷の有無, JISS分類による損傷型と損傷度とした. (結果) 全例における疼痛自覚部位は鼠径部が40%, 大腿内側部が29%だった. スポーツ種目はサッカーが47%と最多であった. 内転筋肉ばなれの内訳は単独損傷78例, 複数損傷12例であった. 単独損傷のうち長内転筋は51例で最多であった. 損傷部位と疼痛自覚部位については, 長内転筋は遠位損傷が多く, 疼痛部位は大腿内側が多かった. 外傷の有無は外傷なし43例, 外傷あり47例だった. 単独損傷例において長内転筋は他の内転筋群と比較して疼痛自覚から受診までの期間が有意に長く, 外傷なしが有意に多かった (p<0.01). JISS分類の損傷型については, 単独損傷例において長内転筋と他の内転筋群との間に有意差はなかった. (結論) 単独損傷では長内転筋が多かった. 長内転筋肉ばなれは他の内転筋群と比較して疼痛自覚から受診までの期間が有意に長く, 外傷なし例の割合が有意に高かった.
ISSN:1346-4159