注意障害患者に対する段階づけた直接刺激法を用いた作業活動の有効性
「要旨」【はじめに】本研究の目的は, 段階づけた机上課題, つまり, "直接刺激法" の汎化の有無を確認することにある. 【症例紹介】脳梗塞にて左片麻痺を呈した60歳代の男性で, 知的機能はMMSEにて27/30点であった. 注意機能はTMTにおいてpart A, part Bともに遂行困難, Attentional Rating Scale (ARS) は30/56点であった. 立方体模写は構成困難であった. ADLはFIMにて運動項目52/91点, 認知項目28/35点であった. 着衣動作において, 着衣観察スケールの得点は3/15点, 本動作のBarthel Inde...
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Published in | 大和大学研究紀要 保健医療学部編 Vol. 9; pp. 17 - 21 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
大和大学
15.03.2023
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ISSN | 2432-5597 |
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Summary: | 「要旨」【はじめに】本研究の目的は, 段階づけた机上課題, つまり, "直接刺激法" の汎化の有無を確認することにある. 【症例紹介】脳梗塞にて左片麻痺を呈した60歳代の男性で, 知的機能はMMSEにて27/30点であった. 注意機能はTMTにおいてpart A, part Bともに遂行困難, Attentional Rating Scale (ARS) は30/56点であった. 立方体模写は構成困難であった. ADLはFIMにて運動項目52/91点, 認知項目28/35点であった. 着衣動作において, 着衣観察スケールの得点は3/15点, 本動作のBarthel Index (BI) は0点であった. また症例は, 直接的ADL訓練に対する抵抗を示していたが, 机上課題に対しては積極的に取り組まれていた. そこで, 直接刺激法を用いた注意に関する机上課題訓練を立案した. 【結果】知的機能面はMMSEにて30/30となった, 注意機能において, TMTはpart Aが110秒, part Bは遂行困難, ARSは9/56点となった. 立方体模写は形の崩れは認めるものの構成可能となった. FIMは運動項目72/91点, 認知項目34/35であった. 着衣動作において, 着衣スケールは11/15点, BIでも5点となり, 着衣動作能力の向上を認めた. 【考察】全ての認知機能の基盤とされる "注意機能" に直接的かつ段階的に働きかけた本方略により, 構成機能や着衣活動能力の改善が得られた. このようなアプローチは "認知機能面や生活面への汎化" の可能性を意味していると考える. |
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ISSN: | 2432-5597 |