救急・集中治療におけるバンコマイシン(VCM)血中濃度管理への専任薬剤師の関与

【要旨】集中治療における患者の薬物動態は, 急性の腎・肝・心機能の低下などに伴い多様に急速に変化するため, 薬剤部内で医師の指示から投与設計を行うだけでは, 効果的なバンコマイシン(以下VCM)の投与設計を行うことは困難である. 今回, 集中治療室・救命救急センターに常駐する専任薬剤師が, 患者の状態変化や治療方針をVCMの投与計画に迅速に反映することで, VCM血中濃度治療域の維持率がどの程度向上できたか解析を行った. 介入群では, VCM血中濃度治療域の維持率が有意に高く, 治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring, 以下TDM)実施率も上昇した. 専任...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 16; no. 4; pp. 565 - 569
Main Authors 安藝敬生, 樋口則英, 中川博雄, 中村忠博, 田崎修, 槇田徹次, 北原隆志, 佐々木均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床救急医学会 01.08.2013
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ISSN1345-0581

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Summary:【要旨】集中治療における患者の薬物動態は, 急性の腎・肝・心機能の低下などに伴い多様に急速に変化するため, 薬剤部内で医師の指示から投与設計を行うだけでは, 効果的なバンコマイシン(以下VCM)の投与設計を行うことは困難である. 今回, 集中治療室・救命救急センターに常駐する専任薬剤師が, 患者の状態変化や治療方針をVCMの投与計画に迅速に反映することで, VCM血中濃度治療域の維持率がどの程度向上できたか解析を行った. 介入群では, VCM血中濃度治療域の維持率が有意に高く, 治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring, 以下TDM)実施率も上昇した. 専任薬剤師の初期投与計画への関与や, 患者の状態変化などを把握したうえでの投与方法の提案により, 適切な血中濃度が得られたと考える. 急性期のTDMに積極的に専任薬剤師が介入する必要があることが示唆された.
ISSN:1345-0581