オンマヤリザーバー留置によって改善を得た結核性脳膿瘍の1例

「要旨」 : 症例はネフローゼ症候群に対してステロイド加療されていた62歳女性. 発熱, 右手指と顔面の痺れを主訴に他院を受診し, 頭部MRIで左視床のmassを指摘された. 胸部CTではrandom patternの粒状影と右胸鎖関節の低吸収域を認め, 喀痰抗酸菌塗抹と結核菌PCR検査が陽性であったため, 結核治療と頭蓋内病変精査目的で当院へ転院となった. 当院転院時の頭部造影MRIではT1強調画像で辺縁がring状に造影される21x16mmの腫瘤性病変を認め, 内部は造影効果を受けずに低信号を呈し, 膿瘍が示唆された. 一元的に肺結核, 粟粒結核, 右胸鎖関節結核, 左視床結核性脳膿瘍と考...

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Published in結核 Vol. 93; no. 10; pp. 525 - 528
Main Authors 吉岡秀敏, 高田直秀, 西川圭美, 庭本崇史, 五十嵐修太, 野村奈都子, 小林祐介, 中村敬哉, 江村正仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.10.2018
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 症例はネフローゼ症候群に対してステロイド加療されていた62歳女性. 発熱, 右手指と顔面の痺れを主訴に他院を受診し, 頭部MRIで左視床のmassを指摘された. 胸部CTではrandom patternの粒状影と右胸鎖関節の低吸収域を認め, 喀痰抗酸菌塗抹と結核菌PCR検査が陽性であったため, 結核治療と頭蓋内病変精査目的で当院へ転院となった. 当院転院時の頭部造影MRIではT1強調画像で辺縁がring状に造影される21x16mmの腫瘤性病変を認め, 内部は造影効果を受けずに低信号を呈し, 膿瘍が示唆された. 一元的に肺結核, 粟粒結核, 右胸鎖関節結核, 左視床結核性脳膿瘍と考え抗結核薬を開始した. 画像経過で胸部病変は改善したが, 左視床病変は増大し, 意識状態の悪化と右上下肢脱力を認めたため膿瘍に対して穿刺ドレナージを施行した. 膿汁の抗酸菌塗抹, および結核菌PCR検査は双方とも陽性であった. 神経学的所見は一時期改善するも膿瘍内の液体貯留と症状が再燃したため, オンマヤリザーバーを留置したところ症状, 画像所見とも軽快した.
ISSN:0022-9776