栄養政策・公衆栄養学のための人間栄養学研究の在り方 : 栄養素と疾患 (健康) の縦糸・横糸関係をどう考えるべきか?

要旨: 昨今の「日本人の食事摂取基準」(以下, 食事摂取基準)では, 不足, 過剰摂取による健康障害の回避のみならず, 食事が関係する疾患(生活習慣病)予防の重要性が高まっている. このため, 今回国内で作成された診療ガイドライン内に食事・食品・栄養素摂取量など栄養関連の記載がどの程度含まれ, どのような記載があるかを網羅的に収集した. 国内の診療ガイドラインの食事等に関連する記載を収集した結果, 定量的な値が記載されているガイドラインは少数であり, 定量的な値の記載に資する日本人における研究の促進とガイドライン作成時の定量性の検討が望まれる. また, 異なる疾患において共通の栄養素の記載が認...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 78; no. 1; pp. 27 - 31
Main Author 片桐諒子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 10.02.2025
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Summary:要旨: 昨今の「日本人の食事摂取基準」(以下, 食事摂取基準)では, 不足, 過剰摂取による健康障害の回避のみならず, 食事が関係する疾患(生活習慣病)予防の重要性が高まっている. このため, 今回国内で作成された診療ガイドライン内に食事・食品・栄養素摂取量など栄養関連の記載がどの程度含まれ, どのような記載があるかを網羅的に収集した. 国内の診療ガイドラインの食事等に関連する記載を収集した結果, 定量的な値が記載されているガイドラインは少数であり, 定量的な値の記載に資する日本人における研究の促進とガイドライン作成時の定量性の検討が望まれる. また, 異なる疾患において共通の栄養素の記載が認められたことから, ガイドライン作成者間での情報共有を実施し, 連携してガイドラインを作成することを可能とする体制の構築も望まれる. 食事摂取基準と診療ガイドラインが栄養素や食事の観点から双方向に向上するような連携が行われることで研究とエビデンス構築がさらに進展することが期待される.
ISSN:0287-3516