胸骨に接する巨大胸部大動脈瘤の外科治療
外壁が胸骨に接する巨大胸部大動脈瘤の手術では, アプローチ法や補助手段の選択に苦慮する場合が多い. われわれは, 大腿動静脈からVAバイパスを行い, 体外循環冷却により超低体温としてから開胸する方法を行っている. 現在までに5例 (慢性II型大動脈解離1例, 人工血管置換術後吻合部仮性動脈瘤4例) に対し本法を行ったが, その内4例において, 開胸時に瘤破裂を来した. いずれの場合も, 破裂後すみやかに瘤の末梢側で遮断可能で, 5~10分後に循環を再開できた. 手術は, 上行弓部人工血管再置換術3例, 上行部分のみの人工血管再置換術1例, hemiarch repair 1例であった. 術後M...
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Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 27; no. 6; pp. 341 - 344 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
15.11.1998
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.27.341 |
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Summary: | 外壁が胸骨に接する巨大胸部大動脈瘤の手術では, アプローチ法や補助手段の選択に苦慮する場合が多い. われわれは, 大腿動静脈からVAバイパスを行い, 体外循環冷却により超低体温としてから開胸する方法を行っている. 現在までに5例 (慢性II型大動脈解離1例, 人工血管置換術後吻合部仮性動脈瘤4例) に対し本法を行ったが, その内4例において, 開胸時に瘤破裂を来した. いずれの場合も, 破裂後すみやかに瘤の末梢側で遮断可能で, 5~10分後に循環を再開できた. 手術は, 上行弓部人工血管再置換術3例, 上行部分のみの人工血管再置換術1例, hemiarch repair 1例であった. 術後MOFを来した1例を6カ月後に失ったが, 他は社会復帰している. 本法は, 無血視野が得られ, 瘤破裂を来した場合でも容易に対処でき, 中等度以上のARがない症例では, 有用な方法と考えられた. |
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ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.27.341 |