保存的に改善した子宮留膿腫による直腸子宮瘻の1例

子宮留膿腫は高齢女性に多くみられる疾患で, まれに腹腔内に穿破し腹膜炎を起こすことがある. 今回, 我々は急性腹症により発症し, 保存的に改善した子宮留膿腫による直腸子宮瘻の1例を経験したので報告する. 症例は61歳の女性で, 2003年5月, 下腹部痛・嘔吐が出現した. 来院時は下腹部に筋性防御がみられ, CTでは直腸と子宮が交通している所見がみられた. 大腸内視鏡では直腸に径2cmの瘻孔を認め, 瘻孔からは子宮内腔が観察され, 子宮留膿腫の直腸穿破と診断した. 発症から約1か月後の大腸内視鏡・注腸検査で瘻孔は縮小傾向にあり, CTでは肥大した子宮の内腔にair densityと液体成分の貯...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 8; pp. 1395 - 1399
Main Authors 千々岩, 一男, 森, 洋一郎, 佛坂, 正幸, 柴田, 伸弘, 自見, 政一郎, 島, 雅保, 岩村, 威志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2005
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.38.1395

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Summary:子宮留膿腫は高齢女性に多くみられる疾患で, まれに腹腔内に穿破し腹膜炎を起こすことがある. 今回, 我々は急性腹症により発症し, 保存的に改善した子宮留膿腫による直腸子宮瘻の1例を経験したので報告する. 症例は61歳の女性で, 2003年5月, 下腹部痛・嘔吐が出現した. 来院時は下腹部に筋性防御がみられ, CTでは直腸と子宮が交通している所見がみられた. 大腸内視鏡では直腸に径2cmの瘻孔を認め, 瘻孔からは子宮内腔が観察され, 子宮留膿腫の直腸穿破と診断した. 発症から約1か月後の大腸内視鏡・注腸検査で瘻孔は縮小傾向にあり, CTでは肥大した子宮の内腔にair densityと液体成分の貯留を認めた. 子宮頸管の癒着による閉鎖がみられたため, 頸管拡張術を施行し経過観察したところ, 症状の再燃はみられなかった. 子宮留膿腫による直腸子宮瘻は適切なドレナージで保存的に閉鎖が期待できるが, 慢性化する可能性もあり, 慎重な経過観察が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.38.1395