胃癌における末梢血および所属リンパ節の抗腫瘍免疫能の検討

胃癌患者の末梢血 (PBL) および所属リンパ節リンパ球 (RLNL) のNK, LAK活性を測定し, これらのリンパ球機能と癌の進行を規定する諸因子との関連を比較検討した.PBLのNK, LAK活性にはstage別の差は見られなかったが, 1群のNK活性はstage Iに比べstage IVでは統計学的に有意に低下していた (p<0.01).予後的漿膜面侵襲因子, リンパ管侵襲因子, 胃壁静脈侵襲因子に比較して, リンパ節転移, 遠隔臓器転移陽性の症例では1群のNK, LAK活性は陰性のものに比べて低下傾向を示したが, 2群の細胞障害活性は保持されていた.また組織学的に高分化型腺癌のほ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 24; no. 7; pp. 1932 - 1937
Main Authors 太田, 智彦, 片山, 憲恃, 菊地, 秀樹, 横瀬, 裕義, 渡辺, 弘, 吉田, 紘一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.1991
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.24.1932

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Summary:胃癌患者の末梢血 (PBL) および所属リンパ節リンパ球 (RLNL) のNK, LAK活性を測定し, これらのリンパ球機能と癌の進行を規定する諸因子との関連を比較検討した.PBLのNK, LAK活性にはstage別の差は見られなかったが, 1群のNK活性はstage Iに比べstage IVでは統計学的に有意に低下していた (p<0.01).予後的漿膜面侵襲因子, リンパ管侵襲因子, 胃壁静脈侵襲因子に比較して, リンパ節転移, 遠隔臓器転移陽性の症例では1群のNK, LAK活性は陰性のものに比べて低下傾向を示したが, 2群の細胞障害活性は保持されていた.また組織学的に高分化型腺癌のほうが低分化腺癌に比してNK活性が有意に低下していることが分かった (p<0.05).これらの結果から, 進行胃癌では1群のリンパ節においてNK細胞の数の減少や活性の低下あるいはLAK細胞の前駆細胞の減少が起こっており, その機序として何かの抑制性因子の関与が示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.24.1932