経仙骨的直腸切除術後,仙骨部に瘢痕ヘルニアを認めた1例

経仙骨的直腸切除術後に瘢痕ヘルニアをきたした症例を経験した.症例は57歳男性で主訴は仙骨部腫瘤であった.直腸癌に対し経腹仙骨的直腸切除術を施行した8カ月後より右臀部仙骨右縁下端の手術創部の皮下に腫瘤を自覚するようになり, 2004年10月には8cm×6cmにまで増大した.骨盤部CTにて仙骨右側下方の臀部皮下に腸管が入り込んでいることを認め,瘢痕ヘルニアと診断し手術を施行した.ヘルニア門は仙骨右縁下端の尾骨切除部近傍で,ヘルニア嚢は後腹膜,ヘルニア内容は小腸であった.ヘルニア嚢を骨盤腔側へ内翻後ヘルニア門をメッシュプラグで修復し,さらに大殿筋回転皮弁を作成してメッシュ部を被覆した.仙骨的直腸切除...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 3; pp. 774 - 777
Main Authors 谷, 徹, 川崎, 誠康, 目片, 英治, 遠藤, 善裕
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.03.2005
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.774

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Summary:経仙骨的直腸切除術後に瘢痕ヘルニアをきたした症例を経験した.症例は57歳男性で主訴は仙骨部腫瘤であった.直腸癌に対し経腹仙骨的直腸切除術を施行した8カ月後より右臀部仙骨右縁下端の手術創部の皮下に腫瘤を自覚するようになり, 2004年10月には8cm×6cmにまで増大した.骨盤部CTにて仙骨右側下方の臀部皮下に腸管が入り込んでいることを認め,瘢痕ヘルニアと診断し手術を施行した.ヘルニア門は仙骨右縁下端の尾骨切除部近傍で,ヘルニア嚢は後腹膜,ヘルニア内容は小腸であった.ヘルニア嚢を骨盤腔側へ内翻後ヘルニア門をメッシュプラグで修復し,さらに大殿筋回転皮弁を作成してメッシュ部を被覆した.仙骨的直腸切除後の瘢痕ヘルニアは文献的には前例がなく修復法を熟考したが,メッシュを使用したtension freeのヘルニア門閉鎖方法に加え大殿筋皮弁の使用を付加することが最良であるという印象であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.774