ステロイド局所注射誘発性アキレス腱断裂の手術経験

〔要旨〕 アキレス腱炎の治療にステロイド局所注射が行われたのち, アキレス腱断裂を発症することがある. 2008年より2019年までの14例に対し, 遊離腓腹筋腱膜弁法(Reversed-Free-Tendon-Flap: 以下RFTF法)6例, 半腱様筋腱移植法(以下ST法)8例にアキレス腱再建術を施行し, 片脚heel raise (以下HR)の獲得時期を評価した. 14例中12例が9週から100週で片脚HRを獲得したが, 2例は経過観察中の片脚HRは獲得できず両脚HRの獲得に留まった. RFTF法では6例中2例が再断裂し, ST法による再手術を行い片脚HR獲得が可能となった. 一方ST法...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 29; no. 3; pp. 400 - 406
Main Authors 内山英司, 山口玲, 眞田高起
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2021
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 アキレス腱炎の治療にステロイド局所注射が行われたのち, アキレス腱断裂を発症することがある. 2008年より2019年までの14例に対し, 遊離腓腹筋腱膜弁法(Reversed-Free-Tendon-Flap: 以下RFTF法)6例, 半腱様筋腱移植法(以下ST法)8例にアキレス腱再建術を施行し, 片脚heel raise (以下HR)の獲得時期を評価した. 14例中12例が9週から100週で片脚HRを獲得したが, 2例は経過観察中の片脚HRは獲得できず両脚HRの獲得に留まった. RFTF法では6例中2例が再断裂し, ST法による再手術を行い片脚HR獲得が可能となった. 一方ST法では再断裂はなく, 移植腱の連続が保たれていた. 再再建を行った2例を含めた全10例のST法のうち, 活動性が高い症例では片脚HRの獲得は平均10.8週と良好で競技に復帰していた. ただし55歳以上での複数回手術例や, 感染を合併した例では片脚HRの獲得は遅延した. ステロイド局所注射誘発性アキレス腱断裂に対し半腱様筋腱移植は推奨できる有効な方法である.
ISSN:1346-4159