80歳以上の超高齢者の腹部大動脈瘤に対する外科治療の検討

80歳以上の超高齢者の腹部大動脈瘤に対する外科治療の特徴,合併症,手術成績,手術適応などについて検討した.1981年から2000年に当院で施行された腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術を行った223例を対象とした.これらを手術施行時の年齢によって,80歳以上の群(O群)23例と80歳未満の群(Y群)200例に分け,術前,術後の合併症,手術成績などについて検討した.病院死亡率は待機手術症例のみでは両群とも0%であり,緊急手術症例のみではO群57.1%に対してY群6.1%と有意にO群のほうが高かった.緊急手術症例はY群(16.5%)に比べてO群(30.4%)のほうが有意に多かった.術前合併症では,腎...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 321 - 324
Main Authors 日比野, 成俊, 土屋, 幸治, 中島, 雅人, 佐々木, 英樹, 松本, 春信, 内藤, 祐次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.09.2002
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Summary:80歳以上の超高齢者の腹部大動脈瘤に対する外科治療の特徴,合併症,手術成績,手術適応などについて検討した.1981年から2000年に当院で施行された腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術を行った223例を対象とした.これらを手術施行時の年齢によって,80歳以上の群(O群)23例と80歳未満の群(Y群)200例に分け,術前,術後の合併症,手術成績などについて検討した.病院死亡率は待機手術症例のみでは両群とも0%であり,緊急手術症例のみではO群57.1%に対してY群6.1%と有意にO群のほうが高かった.緊急手術症例はY群(16.5%)に比べてO群(30.4%)のほうが有意に多かった.術前合併症では,腎機能低下,慢性閉塞性肺疾患,消化器系合併症はO群のほうが多かった.冠動脈病変,およびそれ以外の心血管系合併症は両群間で有意差はなかった.術後合併症では腸閉塞,肺炎,心血管系の合併症はO群で有意に多く,死亡例はいずれもこれらの合併症によるものであった.80歳以上の超高齢者の腹部動脈瘤に対する人工血管置換術は,待機手術については,ほかの年齢層と同様に安全に施行しうると考えられるが,緊急手術の成績は不良であり,早期発見,早期治療が成績向上のためには重要であると考えられた.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.31.321