意識障害が遷延したベンジルアルコール中毒の1例

「要旨」救急外来では, 何らかの中毒を疑ったとしても原因物質の同定に至らないことをしばしば経験する. 今回, われわれは長期の集中治療室滞在を要した意識障害の患者において, 後日, ベンジルアルコール中毒と確定診断した. 症例は30代, 男性. 来院当日, 塗料の剥離作業現場に倒れているところを発見された. 来院時の意識レベルはJCS 30Rであった. 気管挿管, 人工呼吸管理とし, 原因不明の意識障害として集中治療室へ入室した. 入院後第7病日に抜管し, 第13病日に集中治療室退室, 第19病日に自宅退院とした. ベンジルアルコールを含む剥離剤を用いていたことが第2病日に判明し, 後に来院時...

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Published in日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 27; no. 6; pp. 798 - 801
Main Authors 関森淳, 磯川修太郎, 堀江勝博, 後藤正博, 安部寛子, 木下博之, 大谷典生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床救急医学会 01.12.2024
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ISSN1345-0581

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Summary:「要旨」救急外来では, 何らかの中毒を疑ったとしても原因物質の同定に至らないことをしばしば経験する. 今回, われわれは長期の集中治療室滞在を要した意識障害の患者において, 後日, ベンジルアルコール中毒と確定診断した. 症例は30代, 男性. 来院当日, 塗料の剥離作業現場に倒れているところを発見された. 来院時の意識レベルはJCS 30Rであった. 気管挿管, 人工呼吸管理とし, 原因不明の意識障害として集中治療室へ入室した. 入院後第7病日に抜管し, 第13病日に集中治療室退室, 第19病日に自宅退院とした. ベンジルアルコールを含む剥離剤を用いていたことが第2病日に判明し, 後に来院時の残血清からベンジルアルコールを検出した. ベンジルアルコール中毒では意識障害が遷延し, 長期の集中治療室滞在を余儀なくされる可能性がある.
ISSN:1345-0581