結核合併妊娠患者を初発とした集団感染事例
要旨 : 初発患者は31歳女性. 妊娠8週目に咳嗽を自覚し, 医療機関を受診した. 臨床症状から気管支喘息と診断され, プレドニゾロンの内服とステロイド吸入薬が投与されていたが, 28週目頃より, 体重減少, 発熱, 寝汗, 嗄声が出現, 咳嗽も悪化した. 31週目に受診した医療機関で胸部画像を撮影され, 空洞病変と散布粒影が認められた. その際, 抗酸菌塗抹検査が陽性 (G8号) で, TB-PCR陽性であることから肺結核と診断された. 接触者健診の結果, 発病者3名, LTBI18名を認め, 感染者総数36名の集団感染と判明した. 本集団感染事例は152日と長い診断の遅れが原因であり, 妊...
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Published in | 結核 Vol. 91; no. 5; pp. 515 - 518 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核病学会
15.05.2016
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 要旨 : 初発患者は31歳女性. 妊娠8週目に咳嗽を自覚し, 医療機関を受診した. 臨床症状から気管支喘息と診断され, プレドニゾロンの内服とステロイド吸入薬が投与されていたが, 28週目頃より, 体重減少, 発熱, 寝汗, 嗄声が出現, 咳嗽も悪化した. 31週目に受診した医療機関で胸部画像を撮影され, 空洞病変と散布粒影が認められた. その際, 抗酸菌塗抹検査が陽性 (G8号) で, TB-PCR陽性であることから肺結核と診断された. 接触者健診の結果, 発病者3名, LTBI18名を認め, 感染者総数36名の集団感染と判明した. 本集団感染事例は152日と長い診断の遅れが原因であり, 妊娠を理由に胸部X線画像が撮影されなかったこと, 症状がありながら喀痰検査やIGRAについても検査されなかったことが要因としてあげられる. 結核合併妊娠では母子ともに死亡した症例が報告されており, 妊娠女性であっても, 胸部X線画像や喀痰検査, IGRAを組み合わせ, 確実に診断することが必要であると考えられた. |
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ISSN: | 0022-9776 |