陸上競技選手における大腿骨疲労骨折の検討

〔要旨〕 (目的) 陸上競技選手における大腿骨疲労骨折について検討すること. (対象と方法) 2012年4月から2018年12月までに当科を受診し疲労骨折と診断された陸上競技選手344例のうち大腿骨疲労骨折74例92肢 (男性51例65肢 平均16.7歳 (15~21歳) , 女性23例27肢 平均20.2歳 (14~39歳) ) において, 頻度, BMI, 部位, 症状, Hop test, 仮骨の有無, 休養日の有無, 競技復帰, 再受傷について検討した. (結果) 大腿骨疲労骨折は脛骨に次ぎ2番目に多かった. 男性に多く, 種目別では長距離に多かった. BMIは男性18.7kg/m2,...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 28; no. 1; pp. 123 - 128
Main Author 前園恵慈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.01.2020
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕 (目的) 陸上競技選手における大腿骨疲労骨折について検討すること. (対象と方法) 2012年4月から2018年12月までに当科を受診し疲労骨折と診断された陸上競技選手344例のうち大腿骨疲労骨折74例92肢 (男性51例65肢 平均16.7歳 (15~21歳) , 女性23例27肢 平均20.2歳 (14~39歳) ) において, 頻度, BMI, 部位, 症状, Hop test, 仮骨の有無, 休養日の有無, 競技復帰, 再受傷について検討した. (結果) 大腿骨疲労骨折は脛骨に次ぎ2番目に多かった. 男性に多く, 種目別では長距離に多かった. BMIは男性18.7kg/m2, 女性18.9kg/m2であった. 部位別では男女とも左右差は認めず近位, 内側後方に多かった. 症状は様々であり非特異的であった. Hop testは全例陽性であった. 仮骨の有無では男性23.9%, 女性42.9%は経過中に仮骨を認めなかった. 休養日の有無では男女とも休養日なく練習を続けている選手が多かった. 競技復帰に関しては頚部例が時間を要していた. 再受傷に関しては初回受傷とは反対側に受傷する傾向があり, 高位に関しては一定の傾向はなかった. (考察) 大腿骨疲労骨折は陸上競技選手では男性長距離選手の近位部に多く発生しており, 特異的な症状はなかった. 通常の2方向X線では仮骨を認めない例が一定数存在した. 以上より非特異的大腿部痛がありHop test陽性例では大腿骨疲労骨折を疑い, 通常の2方向X線で異常を認めなければ積極的にMRI等の追加検査を行い診断が遅れないようにする必要があると考えた.
ISSN:1346-4159